函館五稜郭病院

肩関節疾患

肩関節疾患

腱板断裂(けんばんだんれつ)

腱板とは、深部にある4つの筋(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の上腕骨への付着部のことを言います。断裂の原因として、加齢と共に起こる腱の変性、あるいは転倒などの外傷によるものがあります。日常的に肩をよく使う方や力仕事を繰り返している方に比較的多く見られます。

症状

  • ・肩周辺の痛みと腕を上げた時の脱力感
  • ・慢性例では運動時の痛み,夜間痛
  • ・腰に手が回らない,痛い方の肩を下にして寝られないなど

治療

  • ・手術(鏡視下腱板修復術)
  • ・保存療法(リハビリ:運動療法・物理療法・薬物療法:副腎皮質ステロイド剤の関節注射や内服薬)

症状

  • 注:腱板断裂の程度により,装具の装着期間や自動運動の開始時期が異なります。
小断裂
時期 リハビリ内容 日常生活
手術前日 ✓オリエンテーション
(手術後のリハビリについての説明)
✓術前評価
✓入院
手術当日 (お休み) 外転装具角度30°
術後1日 ✓リラグゼーション
✓肩甲骨・頸部・手指・手関節・肘関節の運動開始
3日 ✓仰向けで他動運動開始
3週 ✓仰向けで自動運動開始 ✓外転装具除去
✓退院~外来通院
4週 ✓負荷をかけない筋力訓練開始
5週 ✓座位・立位での自動運動開始
✓徐々に負荷をかけた筋力訓練開始
✓肩の高さまで腕を上げることが出来る
2か月 ✓頭の上まで腕を上げることが出来る
3か月 ✓日常生活制限なし
✓頭を洗う・背中に手を伸ばすことなどが出来る
4か月 ✓リハビリ終了 ✓スポーツ・就労完全復帰
大・広範囲断裂
時期 リハビリ内容 日常生活
手術前日 ✓オリエンテーション
(手術後のリハビリについての説明)
✓術前評価
✓入院
手術当日 (お休み) 外転装具角度60°
術後1日 ✓リラグゼーション
✓肩甲骨・頸部・手指・手関節・肘関節の運動開始
1週 ✓仰向けで他動運動開始
3週 ✓退院~外来通院
4週 外転装具角度45°
5週 外転装具角度30°
6週 ✓仰向けで自動運動開始 ✓外転枕除去(スリングのみ3日装着)
7週 ✓負荷をかけない筋力訓練開始
2か月 ✓座位・立位での自動運動開始
✓徐々に負荷をかけた筋力訓練開始
✓肩の高さまで腕を上げることが出来る
3か月 ✓頭の上まで腕を上げることが出来る
4か月 ✓日常生活制限なし
5か月 ✓リハビリ終了 ✓スポーツ・就労完全復帰

腱板断裂の手術後で大切なことは縫合した腱板の再断裂の予防です。
当院では、腱板の断裂の程度に応じて、自動運動(自分で肩を動かすこと)の禁止期間、装具の装着期間を決定します。手術後、1~2週間、入院しリハビリを行い、退院後は週に2回くらいの頻度で外来通院して頂き、継続的にリハビリを行います。縫合した腱板が定着するまでには最短でも3ヵ月かかるとされており、積極的な筋力強化トレーニングを開始するのは手術後4ヶ月経過した頃からとなるため、リハビリは平均して術後5~6ヶ月程度必要となります。
当院への通院が困難な場合には、他の病院で外来または入院でリハビリを継続できるよう、ご紹介しております。

肩関節周囲炎(いわゆる四十肩,五十肩)

肩関節拘縮(かたかんせつこうしゅく)

何らかの原因で肩関節に炎症が生じ、痛みを感じるようになり、かばいつつ生活を続けるうちに、いつの間にか肩関節が硬くなってしまった状態(拘縮)を言います。腕が上がらなくなるだけでなく、着替えが困難になったり、寝返りをうつのも苦痛になったりと、病態は様々です。

症状

  • ・肩の痛み(主に動作時),肩関節が硬くなる

治療

  • ・保存療法(リハビリ、薬物療法)

治療

  • ・肩関節周囲の硬くなった組織(筋,腱,軟部組織,皮膚)のマッサージやストレッチ
  • ・痛みで使用していなかった筋肉に対し筋力トレーニング
  • ・姿勢を整えるための,肩甲骨周囲の筋肉や腹筋・背筋を鍛える運動の指導

インピンジメント症候群

主にスポーツで腕を挙げる動作の繰り返しにより、肩回旋筋腱板※1や肩峰下滑液包(下図参照)という組織に炎症が生じ、これにより変性・肥厚した組織が骨と靱帯からなるアーチ(烏口肩峰アーチ)と衝突し、肩の痛みや運動制限を生じます。

※肩腱板断裂の項、参照

肩峰下滑液包

症状

  • ・腕を肩より高く挙げた時の肩の痛みやひっかかり感
  • ・肩の運動制限
  • ・夜間痛
  • ・筋力低下

治療

  • ・手術:鏡視下肩峰下除圧術
  • ・保存療法:リハビリ,薬物療法など

リハビリは手術後および保存療法どちらでも行います。肩関節での衝突による痛みを誘発しないように、肩関節の可動域の拡大、姿勢改善、弱化した筋肉の強化トレーニングなどを行います。

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