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【医療コラム】~いつも手足が冷える?「温まりやすい体」を作りましょう!~

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「手足が冷たくて眠れない」「冬になると体がこわばる」――そんな声を多く聞きます。今回は「冷え」の原因と、温まりやすい体を作るための運動を、理学療法士がご紹介します。

「冷え」の背景…筋肉と血流

 体の主要な熱源は筋肉です。筋肉は基礎代謝の大部分を担い、運動をすると熱をつくり出す力(熱産生)が大きく増加します。高齢の方ではもともと筋肉量が少なく熱産生が弱いため、体全体が冷えやすくなります。

 若い方でも、長時間の同じ姿勢やデスクワークで筋肉がこわばり、血流が滞ることで冷えを感じやすくなります。足のむくみや腹部の冷えも、下半身の血液循環がうまく回っていないサインです。

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大きい筋肉を動かして体を温めましょう!

下半身の筋肉は全身の筋肉の大部分を占めます。下半身の大きな筋肉を動かすことで、効率的に熱産生・血液循環を改善することができます。運動をいくつかご紹介しますので、取り組みやすいものから始めてみてください。

ポイント!目的は「血流の改善」なので、軽めの運動を複数回繰り返すことが大切です。一度に長時間行うよりも効果的だと言われています。テレビを見ながら、家事をしながら、などの「ながら運動」が最適です。

① かかと上げ

足を肩幅に開き、かかとをゆっくり、まっすぐ上げ下げしましょう。
目安:10~15回、1日2~3セット 

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② スクワット

足の幅を開き、軽くお辞儀をしながらゆっくり腰を下ろします。
膝がつま先よりも前に出ないようにしましょう。
スクワットの代わりに、椅子からの立ち座りをゆっくり行う運動もおすすめです。
目安:5~10回、1日2~3セット

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③ 股関節回し

円を描くように大きく股関節を回します。椅子に座ったままでもできるストレッチです。下腹部~骨盤周囲の血流の改善が期待できます。

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④ ウォーキング

血流は、数分間の軽い運動で改善してくると言われています。ウォーキングの習慣がない方は、5~10分程度のウォーキングから始めてみてください。

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おわりに

今回は、冷えに即効性のある運動をご紹介しました。筋肉をしっかり使い、血流を促すことが冷えの改善に繋がります。この冬は、温かい服装に加えて「体を動かす習慣」も取り入れてみてください。

参考・引用文献

・Yoshino T. et al.: Statistical Analysis of Hie (Cold Sensation) and Hiesho (Cold Disorder) in Kampo Clinic, 2013.

・Tang Y, et al.: Skeletal muscles and gut microbiota-derived metabolites: novel modulators of adipocyte thermogenesis. Frontiers in Endocrinology, 2023.

・Rolfe D.F.S. & Brown G.C.: Cellular energy utilization and molecular origin of standard metabolic rate in mammals,Physiological Reviews, 77(3), 731–758.

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 理学療法士

掲載日:2025年11月10日

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