CTのおはなし
AI技術の活用
みなさんは”AI”という言葉は知っていますか? AIとは人間の知能をコンピュータによって再現する技術、すなわち人工知能のことです。AI技術は、翻訳や医療画像診断、囲碁といった知的活動、お掃除ロボットや自動運転技術といった日常生活において大きな役割を果たしつつあり、非常に身近な存在となっています。
新たに導入されたCT装置
Aquilion ONE PRISM Edition
2022年2月、第2CT室の装置が更新されました。約12年振りの更新で、キャノンメディカルシステムズ社のAquilion ONE PRISM Editionという最新CTが導入されています。
この新しいCTにAiCE(Advanced intelligent Clear-IQ Engine)と呼ばれるAI技術が活用されているのです。
AIによる画像解析
AiCEのおかげでより高画質な画像が得られるようになりました。まずコンピュータが膨大な量の画像データを学習し、ノイズの多い画像とノイズの少ない画像との関係性を解析します。それを画像再構成に活用することで、検査で得られた画像からノイズ成分のみを選択的に除去することができます。
このため、ノイズの少ないよりきれいな画像が提供できるようになりました。
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従来の画像
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AiCEを適用した画像
利点はそれだけではありません。CTの画質は放射線量と密接な関係にあり、放射線を多く照射すれば高画質な画像が得られますが、患者さんの被ばく量は増えてしまいます。反対に放射線量を低くすれば、被ばく量は少なくなりますが、画像が劣化するという両立できない関係とされています。
しかし、AiCEによりノイズの低減効果が飛躍的に上がり、画質を劣化させることなく被ばく量を抑えることが可能になりました。
CT検査装置のAI
「高画質」「低被ばく」という相反する目標を両立させるべく開発されたシステムがAiCEです。我々放射線技師は、この最新技術を駆使し、患者さんが安心して検査を受けていただけるよう努めていきます。
執筆情報
執筆者:函館五稜郭病院 一戸 診療放射線技師
掲載日:2022年8月20日
注釈・参考・出典等
(補足すべき記載はありません)