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インフルエンザについて知ろう

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 インフルエンザが3年ぶりに流行期入りしました。今冬は、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行が懸念されています。今回は改めて「インフルエンザ感染症」とはどんなものなのか説明します。

インフルエンザ感染症とは?

 インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。例年12月~3月に流行します。

【種類】

 インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型に大きく分類され、このうち大きな流行の原因となるのはA型とB型で、これを季節性インフルエンザと呼んでいます。近年、国内で流行しているのは、「A(H1N1)亜型」、「A(H3N2)亜型(香港型)」、「B型」の3種類です。

 A型は毎年のように少しずつ変異を繰り返しますが、時に突然大きく変異した場合を新型インフルエンザと呼びます。新型インフルエンザが現れると多くのヒトが免疫を持たないために急速に感染が拡がり、世界的大流行(パンデミック)を引き起こします。直近では平成21~22(2009~2010)年に新型インフルエンザ[原因ウイルスはA(H1N1)pdm2009亜型]が発生し、多くの国民が新型インフルエンザに対して免疫を獲得するにつれ、平成23(2011)年4月からは、季節性インフルエンザとして取り扱われるようになりました。

 A型とB型があること、A型は少しずつ変異することから何度も感染する可能性があります。

【感染経路】

 「飛沫感染」と「接触感染」の2つがあります。

【潜伏期間】

 1~3日

【症状】

 普通のかぜと比較すると急激に症状が現れること、38℃以上の高熱や、関節痛、筋肉痛、頭痛などの他、全身倦怠感、食欲不振などの全身症状が強く現れるのが特徴です。その他、のどの痛み、鼻水、咳などの症状もみられます。また、小児ではまれに急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している人では肺炎を伴うなど、重症することがあります。

 新型コロナとインフルエンザ2つの感染症は症状が似ているため、症状によって新型コロナかインフルエンザか見分けるのは難しいと言われています。

【検査と診断】

 インフルエンザ抗原検査キットにより短時間で簡便に診断でき、A型とB型の鑑別も可能です。ただし、発症直後はウイルス量が少なく、感染していても陽性にならないことがあります。最近では、新型コロナウイルスとインフルエンザ両方同時に検査できる抗原検査キットも多く販売されています。

【治療】

 主な治療法は、抗インフルエンザウイルス薬の使用です。抗インフルエンザ薬を発症後48時間以内に服用すると、ウイルスの増殖を抑え発熱期間を短縮し体外に排出するウイルスの量を減らす効果があります。

予防対策

(1)ワクチン接種

 流行前にワクチン接種することにより、発症の可能性を減らす効果と重症化を防ぐ効果が期待できます。

(2)手洗い、手指消毒

(3)適度な湿度の保持

 空気が乾燥すると喉の粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。加湿器を使ったり室内に洗濯物を干したりするなどして、適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

(4)十分な休養とバランスのとれた栄養摂取

 免疫力を高めるために、十分な休養・睡眠とバランスのよい食事を心がけましょう。

(5)人混みや繁華街への外出を控える

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 臨床検査技師

掲載日:2023年1月20日

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