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転倒注意!手首の骨折(橈骨遠位端骨折)を受傷する方が増えています!

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橈骨遠位端骨折は、中高年女性※1>が転倒した際に好発する手首の骨折です。大腿骨近位部骨折、腰椎圧迫骨折、上腕骨近位端骨折と並んで高齢者に多い骨折の一つです。冬は路面が凍結して滑るため、出勤中や除雪中に転倒する方が増加します。手をついて転んだ際に、手首の強い痛み、腫れ、内出血が生じてきたら、この骨折が疑われます。今年の冬は雪が多いため、当院でも転倒して受診する方が増えています。

※1…中高年女性は閉経以降の更年期になると、女性ホルモンの減少に伴い、骨のカルシウムが不足し、骨粗しょう症により、骨が脆くなるリスクが高いため、骨折しやすいと言われています。

治療について

橈骨遠位端骨折の治療は、ギプス固定と手術の2つの治療法があります。骨のずれがない場合やずれた骨を医師が整復した場合、ギプスで固定して治療します。関節内の骨折やギプス固定中にずれてきた場合は、骨折部をプレートで固定する手術が必要となります。手術により骨折部は強固に固定されるため、手は早期から使うことができます。

骨折したのだから手を使っちゃダメだ-

と思いこむ方が時々いますが、軽作業や事務作業が原因で骨折部がずれる、折れることはありません。過度に安静にすると手首だけでなく指も動かしにくくなるため、ギプス固定中から指は積極的に動かしましょう。

転倒恐怖感による身体機能低下の悪循環にご注意を

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手首の骨折後に「転びたくないから外に出たくない」と転倒恐怖感を抱き外出を避ける方がいます。家族も過度に心配し「お母さん、こないだ転んだでしょ、座っていて!」と活動を制限し主婦としての役割を取りあげてしまうという例もあります。

しかし、屋内外を動きまわらないことによって足の筋力は低下し、骨に適度なストレスがかからないことで骨は萎縮し、日光に当たらないためビタミンDは不足し骨は脆くなります。また、家に閉じこもり、人との交流が減ることで認知機能は低下していきます。外出しないことで転びそうな場面に遭遇することは減るかもしれませんが、転びやすい身体になってしまいます。

つまり、

外出するから転倒するのではなく、
自分自身の身体機能や認知機能が低下

することによって転倒すると言えるでしょう。

終わりに~おうちで簡単にできる体操~

加齢とともに骨は脆くなるため、転倒により骨折する方はすくなくありません。しかし、過度に恐れて家に閉じこもると、それをきっかけに身体機能や認知機能が低下する危険性があります。再度転倒しないためにも、自分自身の身体機能を維持し健康に暮らしましょう。

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参考文献等

・塚野弘明「認知行動療法の理論と基本モデル」岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要第14号pp451-459.2015

・社会保険広島市民病院整形外科主任部長 杉村功「救急小冊子-防ごう!老人の骨折―その原因と対策―」広島県医師会(https://www.hiroshima.med.or.jp/pamphlet/61/4.html)

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 作業療法士 迫田

掲載日:2023年2月10日

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