レントゲン検査~長尺撮影とは~
昨年度、レントゲン室の長尺撮影用の装置を更新しましたので、今回はその長尺撮影について紹介していきます。
長尺撮影とは、その名の通り、広い範囲の撮影のことを言います。
当院では整形外科領域の全脊椎撮影と下肢全長撮影という2種類の撮影法があります。
全脊椎撮影
全脊椎撮影とは首から腰までの背骨全体を撮影する方法です。
この撮影は主に、小児などに多く見られる、脊椎側弯症の診断及び経過観察に用いられています。脊椎側弯症とは背骨が曲がってしまった状態であり、背骨全体を一度に撮影することで、曲がりの程度を計測することができます。
下肢全長撮影
下肢全長撮影とは、股関節から足先までの下肢全体を撮影する方法です。
この撮影は主に、変形性膝関節症の診断に用いられています。変形性膝関節症とは、膝の軟骨がすり減ることにより、膝関節が変形してしまう病気です。下肢全体を撮影することにより、変形性膝関節症によっておこる脚全体の曲がりの程度を計測します。この病気の治療方法として人工関節の手術が行われることがあり、その患者さんの術後の経過観察にもこの撮影が用いられます。
五稜郭病院で導入された装置の効果として
今回新たに導入された装置は以前使用していた装置と比べて、
- ●より精細な画像が撮影できるようになりました。
- ●撮影を行ってから、画像ができるまでの時間が大幅に短くなり、患者さんの待ち時間短縮が期待できます。
- ●装置自体に手すりが付き、患者さんの体制保持が楽になりました。
さて、今回はレントゲン検査「長尺撮影」について解説しました。レントゲン検査ひとつをとっても日進月歩により医療は発展を遂げています。今後も様々な放射線にまつわる様々なコラムをご紹介します。
執筆情報
執筆者:函館五稜郭病院 診療放射線技師
掲載日:2023年4月20日