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消化器がんの手術のときにもリハビリが重要?

 当院では、消化器がんの手術前後にリハビリテーション(以下リハビリ)を行っています。リハビリの対象となる方は下記の通りとなっています。

全例:食道がん、すい臓がん、肝臓がん、胆道がん
70歳以上:胃がん、大腸がん
その他:呼吸機能障害や日常生活動作能力低下が著しいもの

※2023年4月時点

手術前後のリハビリの流れ

「昔は手術した後しばらくは安静にしなければいけなかったのにね。」と話される患者さんの声を時々耳にします。しかし、現在は手術した後から早期にリハビリが開始され、術後の合併症予防や身体の機能が早く回復するように実施していきます。

  • 入院
    手術前評価、手術前オリエンテーション

  • 手術日
    リハビリはお休み

  • 術後1日目~
    早期離床(座ることや立つこと)、有酸素運動(歩行・自転車)、筋力トレーニング、呼吸トレーニング

  • 退院
    術後1~3週間で退院

手術前オリエンテーション

手術前オリエンテーションでは専用のパンフレットを使用し、手術前後の注意点について説明します。

また、身体機能の評価をおこない手術前の状態を確認します。そして、退院する前に同じ評価を行うことで、手術前の状態との変化を把握することができます。

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早期離床の目的

  • 1.全身の血流がよくなることで手術の傷を早く回復させます。
  • 2.腸の蠕動(ぜんどう)運動が促され、術後イレウス※1の予防になります。
  • 3.体を起こすことで呼吸状態が改善されます。
  • 4.足を動かすことでポンプ機能が働き深部静脈血栓症※2の予防にもなります。
  • 5.体を動かすことで筋力低下の予防にもなります。
  • ※1イレウス:腸が麻痺して、蠕動運動が障害された状態。
  • ※2深部静脈血栓症:主にふくらはぎやふとももなどの奥にある静脈で血液が固まる病気。

退院までの目安

手術の部位や内容・合併症の有無により退院期間はそれぞれ異なりますが、経過が順調にすすむと術後約1~3週間で退院となります。

みなさんが普段の生活に早く戻れるように私たちも協力をしていきますので、一緒に頑張っていきましょう。

参考文献

・井上順一郎他:がん領域のリハビリテーション医療のエビデンスと今後の課題.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌.第31巻第1号.35-40.2022

・公益社団法人日本リハビリテーション医学会がんのリハビリテーション診療ガイドライン改定委員会編:がんのリハビリテーション診療ガイドライン第2版.金原出版.28-36.2019

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 理学療法士 青山

掲載日:2023年4月30日

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