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便秘はどうして起こるの? ~原因と対策について~

そもそも、便は何からできているの?

「食べ物の残りカス」と想像する方が多いと思いますが、実は食べ物の残りカスは全体の10%です。便の大半は水分で(70%)、残りの10%は腸粘膜や腸管の代謝物、10%が腸内細菌で出来ています。

便秘が起こるメカニズム

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食べ物が胃に入ると、小腸から大腸に信号が送られ、腸の運動が亢進し、便は直腸へ送られます。これにより、直腸の壁が伸展されると便意をもよおし、体外へ排出されます。何らかの原因で腸内容物が大腸内に停滞した状態を便秘といいます。

便秘になると水分の吸収が進み、便が硬くなるため、排泄時の苦痛や腹部膨満など不快感が生じます。

便秘の種類

種類 発生機序 原因
機能性便秘 弛緩性便秘 腸の動きが低下して、便が長い間溜まってしまう 水分不足、食物繊維不足、運動不足
痙攣性便秘 腸の働きを調整する自律神経がバランスを崩し、腸が痙攣を起こし、便の運搬がうまくできなくなる 精神的なストレス
直腸性便秘 直腸に便が溜まっても、便意を催さず、直腸に便が停滞してしまい、うまく排便できなくなる 排便習慣の乱れ
器質性便秘 胃、小腸、大腸、肛門などに何らかの病気があるため起こる イレウス、大腸がん

〇便秘対策

1.食物繊維を十分に摂取しよう

食物繊維は、消化酵素の作用を受けずに大腸まで達する成分です。

「水溶性食物繊維」…水に溶け善玉菌の餌となります。主に果物、海藻類、大麦等に含まれます。

「不溶性食物繊維」…便のカサ増しになります。主に穀類、豆類、キノコ類、根菜類、山菜類等に含まれます。

1日に摂りたい食物繊維の量は、男性が21g以上、女性は18g以上です。野菜の量で言うと1日350g、目分量で見ると生野菜で両手3杯分です。

2.善玉菌を増やす食材を摂取しよう

腸内には善玉菌と悪玉菌、日和見菌の3種類あります。善玉菌は腸内環境を整え、悪玉菌は腸内容物を腐らせ、有害物質を作ります。

日和見菌は善玉菌と悪玉菌、菌数が多い方に加勢します。善玉菌は発酵食品や麹食品に含まれています。

オリゴ糖や水溶性食物繊維は善玉菌の餌となり、菌数を増やしてくれます。

菌そのものと菌を増やす食品両方を積極的に摂取しましょう。

3.水分をしっかり摂取しよう

1日1.5L以上を目標に摂取しましょう。

※腎不全、心不全の疾患を持っている方は、主治医へ必要水分量を確認しましょう。

4.ストレスフリーの生活を

5.適度な運動を行いましょう

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 管理栄養士

掲載日:2023年5月20日

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