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スポーツ外傷と応急処置―応急処置にはPRICE(プライス)―

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夏季になり市内でもスポーツ大会の開催が相次いでおり学校授業や部活動でもスポーツに取り組む機会が増えてくることかと思います。

当院でも大会や部活動、体育の授業中の怪我で受診する学生達が少なくありません。学生の怪我では、接触を伴うスポーツ中に挫傷、打撲、骨折、捻挫の受傷が多く、特に足や膝などの下肢に多い傾向にあります。

スポーツ外傷は受傷しないのが一番ですが、全てが避けられるものではありません。そこで、怪我したときに重要となるのが応急処置です。

スポーツ外傷後の応急処置「PRICE(プライス)」

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外傷を受けたときの応急処置は「PRICE(プライス)」が基本となります。

  • Protection (患部保護)
  • Rest (安静)
  • Icing(氷で冷却)
  • Compression (弾性包帯やテーピングで圧迫)
  • Elevation(患肢を挙上すること)

怪我をすると、腫れて、熱を持ち、痛みが生じます。これは「炎症の三兆候」と呼ばれる炎症が起こった際の3つの症状です。応急処置には、損傷部位の障害を最小限にとどめ、腫脹、熱感、疼痛といった症状を軽減する効果があります。

痛みの悪循環

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怪我の後、「怪我したんだから動かしちゃいけない!」思われる方もいらっしゃますが、安静にして動かさないこと(不動)や、不必要な固定は関節が硬くなる原因となります。

不動や固定により関節の動きが低下し周辺の軟部組織の柔軟性が低下するだけではなく、不使用により痛みに過敏になり更に使わなくなり機能低下を招く「痛みの悪循環」を引き起こすこともあります。

受傷直後は腫脹や疼痛の増強を防ぐために安静にしますが、医師やリハビリ担当者から許可が出た際には、運動を積極的に行いましょう。

早期のスポーツ復帰のためには、病院でのリハビリだけではなく、家での自主トレーニングも重要になります。

参考文献

砂川憲彦,眞下苑子:学校現場でのスポーツ外傷・障害調査の統計-現状と課題,スポーツ医学,39(1),2022 ,20-25

齋藤慶一郎:リハ実践テクニック ハンドセラピィ,メジカルビュー.2014

長﨑重惟:身体障害作業療法学,メジカルビュー,2015

熊井司:軟部組織損傷・障害の病態とリハビリテーション,メジカルビュー,2021

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 作業療法士 追田

掲載日:2023年7月20日

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