高齢者の食事摂取減少による低栄養を予防するポイント
ご高齢の方は、さまざまな要因から食事摂取量が少なくなりやすい傾向があります。
食事量が減り、低栄養状態になると、加齢も合わさり筋肉量が低下(サルコペニア)したり、身体機能が低下して一人での外出や身の回りの事が難しくなること(フレイル)があります。
今回は、食事量をしっかりと維持していくためのポイントを管理栄養士の視点からご紹介します。
高齢者の食事摂取量が減少する要因
- 1.加齢 食欲低下、嗅覚・味覚低下
- 2.病気 咀嚼・嚥下障害、消化器疾患、炎症・がん、代謝疾患、薬の副作用
- 3.心の状態 認知機能障害、うつ、誤嚥などへの恐怖
- 4.生活状況 独り暮らし、介護不足
- 5.その他 不適合な食形態、肥満・生活習慣病への過剰な反応、誤った食事の知識
このような要因から、食事摂取量が減少します。それでは低栄養を予防するためには食事をどのように見直せばよいでしょうか。
低栄養を予防するための4つのポイント
①3食の食事をなるべくとるようにしましょう
食欲のない時は少量ずつ、何回かに分けてみましょう。可能な限り栄養素のバランスが取れる食事が望ましいです。
- エネルギー(ごはん、パン、麺類)
- タンパク質(魚、肉、卵、大豆製品)
- ビタミン・ミネラル・食物繊維(野菜)
②食欲のない時は、身近な食べ物を上手く利用して間食を設けましょう
間食の目安は「1日 100~200kcal程度」です。
(例) アイス、牛乳、ヨーグルト、カステラ、プリン、クッキーなど
(例) アイス、牛乳、ヨーグルト、カステラ、プリン、クッキーなど
③食事が摂れない時は栄養補助食品の活用を
食事で不足しやすい栄養素を補うことができます。お近くのドラッグストアや通信販売などで購入可能です。
(例) 高栄養ドリンク・ゼリー (エネルギーやたんぱく質補給)、プロテインパウダー (お粥・汁物などに混ぜてたんぱく質補給)
粉末のものを使う場合などは、目安量を守って使用しましょう。
④こまめに水分補給をおこないましょう
食事が思うように取れない状況でも水分はとるように心がけましょう。加齢により体液量の低下、腎機能の低下、食事摂取機能の低下が進み、脱水に陥りやすい状態です。
水分量の目安は「1日 1~1.5L程度」です。
今回ご紹介した事を気に掛け、食事から健康に生活できれば幸いです。なお、食事制限、水分制限(糖尿病、腎臓病など)がある方は医師の指示に従って下さい。当院通院中の方は、必要時に管理栄養士が栄養相談を行っています。お気軽にご相談ください。
執筆情報
執筆者:函館五稜郭病院 管理栄養士
掲載日:2023年8月10日