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【医療コラム】咳やくしゃみで尿もれが…腹圧性尿失禁、対策は?

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「腹圧性尿失禁」とは、咳やくしゃみ、運動などにより腹圧が高くなる (お腹に力が入る) ことで起こる尿漏れのことです。

特に女性に多く、40代の30%以上が「尿失禁あり」または「尿失禁の経験あり」と答えています。

分娩・加齢・肥満によりさらにリスクが高まりますが、近年では出産経験のない若い女性にも、24%の高い割合で腹圧性尿失禁がみられると報告されています。

腹圧性尿失禁の発生には骨盤底筋の機能低下が関連しており、予防・治療として骨盤底筋トレーニングが一般的に用いられます。

骨盤底筋群とは?

腸や子宮など、骨盤内の臓器を骨盤の底で支えている筋肉の総称です。

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その他、排尿・排便時に排出口を締める・緩めることや、骨盤帯の安定化、姿勢の保持などにも関わっています。

骨盤底筋群トレーニング

なるべく全身の力は抜き、骨盤底筋に集中するようにします。まずは仰向けや椅子に座った姿勢で、尿道や肛門を締める感覚、排尿を途中で止める・我慢する感覚を意識してみてください。慣れてきたら、立ちながら行ってみてください。日常生活の中で腹圧性尿失禁が生じるのは、立ち姿勢で動いている時が多いと言われており、立ち姿勢での骨盤底筋機能も重要だと言われています。一般的に、2~3ヶ月で効果が最大になると言われています。

ポイント
・3秒力を入れ、5秒緩める。「締める・緩める」のメリハリをつける。(10回を1セットとして、1日5セット程度が理想です)
・慣れてきたら呼吸も意識する。お腹がへこむように息を「フー」と吐きながら骨盤底筋に力を入れる。

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参考文献等

1)松原 彩香 他:若年女性に対する骨盤底筋トレーニングおよび腹横筋トレーニングが骨盤底筋・腹横筋機能におよぼす影響,理学療法科学 28(6):pp823–827,2013.

2)喜多村 定子 他:日本人女性の尿失禁の実態とその取り組みに関する文献レビュー,徳島文理大学研究紀要 第95号,2018.

3)田舎中 真由美 他: 骨盤底筋トレーニングのための基礎と実践,体力科学 第71巻 第3号,pp255-261, 2022.・金 憲経 他:尿失禁対策としての骨盤底筋運動の実際,体力科学 第71巻 第3号,pp279-286,2022.

4)金 憲経 他:尿失禁対策としての骨盤底筋運動の実際,体力科学 第71巻 第3号,pp279-286,2022.

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 理学療法士

掲載日:2023年10月10日

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