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【医療コラム】「なに」を「いつ」食べるかを意識してみましょう!
~時間栄養学の観点から~

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みなさんは、「時間栄養学」という言葉を聞いたことがありますか?あまり聞き慣れない言葉ですよね。

では、「体内時計」はいかがでしょう?こちらはよく耳にするのではないでしょうか。「時間栄養学」はこの「体内時計」を栄養学の視点から研究する学問のことです。

今回は、この時間栄養学を基に、食品の栄養素が私たちの体でより効果を発揮するよう、毎食のポイントをご紹介します。

朝ごはんのポイント

体内時計が乱れると、生活習慣病や肌荒れなど様々な不調の原因になるため、毎日リセットする必要があります。朝ごはんは体内時計をリセットするのに一番重要です。

特に糖質(ご飯やパンなど)を摂取することで血糖値が上がりインスリンが分泌されますが、この仕組みがリセットに1番効果的です。他にリセット効果を高めるものとして、水溶性の食物繊維、魚油に含まれるEPAやDHAがあります。

その他にも、トマトに多く含まれ、抗酸化作用のあるリコピンも、夜よりも朝の方が吸収率が高いことが分かっています。また、エネルギー代謝や筋肉を作るタンパク質は夜よりも朝に多く摂った方が筋肉量の維持・増加に効果的です。

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朝ごはんの献立の例
チーズトースト、目玉焼き、トマトとツナのサラダ、バナナヨーグルト、コーヒー

糖質が補える主食、筋肉を作るタンパク質はしっかりとりましょう。ツナはタンパク質の他にも、リセット効果のあるEPAやDHA、バナナなどの果物には水溶性食物繊維が含まれます。また、コーヒーのカフェインにもリセット効果があります。

お昼ごはんのポイント

夕ごはんのセカンドミール効果(それ以降の食事の血糖値上昇を抑える効果)を得るために、食物繊維を意識して摂るようにしましょう。揚げ物など脂質の多い食事は夜よりも昼がおすすめです。

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昼ごはんの献立の例
五目そば、オレンジ

そばは麺類の中でも食物繊維が多く、低GI食品(血糖値の上昇が穏やかな食品)です。具材もお肉やきのこ、野菜など具沢山にするとバランスの偏りが少ないです。塩分の摂りすぎを防ぐために麺類の汁は残すように心がけましょう。

夕ごはんのポイント

夜は1日の中で1番エネルギーが消費されにくい時間帯。脂質の合成を促進するBMAL1(ビーマルワン)という遺伝子は夜間に活性化することがわかっており、夕食に脂質をとりすぎると脂肪をため込み、肥満になりやすいです。また、カルシウムは朝よりも夜の方が吸収率が高いということが明らかになってきており、カルシウムを多く含む食品は夜に摂ると良いでしょう。

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夕ごはんの献立の例
ごはん、豚汁、焼き魚、小松菜と高野豆腐の煮びたし

夕食は比較的低カロリーな和食がおすすめ。大豆製品や青菜にはカルシウムが多く含まれます。また、魚に含まれるビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。味噌汁は具沢山にして汁を少なめに盛ると塩分カットにも繋がります。

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 管理栄養士

掲載日:2023年10月30日

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