看護場面とナイチンゲールの『看護覚え書』その6
「看護覚え書」はフロレンス・ナイチンゲールによって1859年に書かれた「Notes on nursing : what it is, and what it is not 」の完訳で、現在も看護の思想の原点としてすべて看護を学ぶ者の必読書と言われています。
このコラムは当院看護師が実際の看護場面を振り返り、「ナイチンゲールの『看護覚え書』」と照らし合わせた学びをご紹介します。
シーン
小児患者の緊急手術前
10代女性の整形外科緊急手術を担当した。子供との関わりが苦手なため、どう接したらいいか戸惑いがあった-
入室時、落ち着いている様子に見えたが、緊張していない訳がないと思い、声がけを多くし患者のそばを離れないようにした。
不安な気持ちを少しでも軽減するために患者の手を握り、体をさすっていたら患者が手を握り返してきた。
看護師の振り返り
-ナイチンゲールの看護覚え書より
患者の顔に現れるあらゆる変化、姿勢や態度のあらゆる変化、声の変化のすべてについて、その意味を理解≪すべき≫なのである
また看護師は、これらのことについて、自分ほどよく理解しているものはほかにはいないと確信が持てるようになるまで、これらについて探るべきなのである。
間違いを犯すこともあろうが、≪そうしている間に≫彼女は良い看護師に育っていくのである。
引用 F.ナイチンゲール 著『看護覚え書』湯槇ます・薄井坦子・小玉香津子・田村真・小南吉彦 訳・現代社・第7版・2011年 p228
今回の学び
-観察した現象に含まれている意味を理解する-
私が行ったことはとても簡単なことかもしれないが、その簡単なことこそ大切な看護なのだと改めて思う。
執筆情報
執筆者:函館五稜郭病院 看護部
掲載日:2023年11月20日
出典
フロレンス・ナイチンゲール 著『看護覚え書』湯槇ます・薄井坦子・小玉香津子・田村真・小南吉彦 訳・現代社・第7版・2011年