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【医療コラム】尿「定性」検査とは

健康診断や病院を受診したときに、尿を調べる検査を受けたことのある方は多いのではないでしょうか?

通常、尿には老廃物と水分が含まれて体外に排出されます。ですが、病気がある場合には、尿に含まれるはずの無い成分が混ざっていることがあります。尿検査ではその成分を分析して、病気を特定するためなどに行います。

尿検査には様々な種類がありますが、今回は代表的な「尿定性」検査について、臨床検査技師の視点から解説します。

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検査の方法

尿試験紙と呼ばれるものを尿カップに採取した尿に浸し、反応させる検査です。尿試験紙には、様々な検査試薬を染み込ませたろ紙が載っていて、ろ紙の色の変化を見ることで判定します。

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検査の項目

調べられる項目は、pH、尿タンパク、尿糖、ウロビリノーゲン、ビリルビン、ケトン体、潜血反応、亜硝酸塩、比重です。その中で、特にpH、尿タンパク、尿糖、潜血反応、亜硝酸塩についてピックアップしたいと思います。

検査項目【pH】

pHとは、その液体が酸性かアルカリ性かを表すもので、1から14までの値で表されます。真ん中の7を中性といい、pHが7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性となります。

健常人の尿は弱酸性でpH 6.0程度となっていますが、生理的にpH 4.5~8.0を変動します。糖尿病や栄養不足、激しい運動後などで尿のpHが酸性に傾くことがあり、尿路に細菌が感染している場合などでpHがアルカリ性に傾くことがあります。

検査項目【尿タンパク】

タンパク質は体に必要なものなので、尿中に排泄される量はとても少ないです。

しかし、腎臓などの機能障害があると、必要以上のタンパク質が尿中に排泄されることがあります。

検査項目【尿糖】

健常人の尿中には糖分はほとんど含まれていませんが、血糖値が高い状態になると、過剰な糖分が尿中に排泄されてしまいます。

また糖は尿中に出る前に腎臓で再吸収されることで、尿中に排泄されにくくなっていますが、腎臓の再吸収する働きが弱ってしまうことで、糖が尿中に排泄されてしまうといったこともあります。

検査項目【潜血反応】

尿に赤血球が混入した状態を血尿といい、大きく肉眼的血尿と顕微鏡的血尿に分けられます。肉眼的血尿はその名の通り、目で見て明らかに血尿とわかるものをいいます。対して顕微鏡的血尿は、目では見えないが、顕微鏡を用いることで赤血球の存在を確認できるものをいいます。顕微鏡的血尿は、潜血反応によっても確認できます。

潜血反応が陽性の場合、泌尿器系のどこかに出血部位がある可能性があります。

検査項目【亜硝酸塩】

普段、食物から摂取する硝酸塩は、ほとんど尿中に排泄されます。

しかし尿路感染症では、尿中に細菌が繁殖すると、硝酸塩は亜硝酸塩へと変化することがあります。

以上のような尿定性検査は、初診の患者や健康診断による病気を推測するためのスクリーニング検査として利用されます。

参考文献

・一般社団法人日本臨床衛生検査技師会「一般検査技術教本」2017年4月,丸善出版

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 臨床検査技師

掲載日:2023年12月10日

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