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【医療コラム】がんと食事に関するあれこれ

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 現在、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は(2019年データに基づく)、男性65.5%(2人に1人)、女性51.2%(2人に1人)、とされています。2019年のがん患者数の1位は大腸がんでした(男女あわせて)。大腸がんの発症には食生活も大きく影響していると考えられています。※1

 今回は、管理栄養士の視点から、がんと食事の噂、身体の抵抗力を高める食材についてご紹介します。

肉の食べすぎは大腸によくない?

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 日本人を対象とした研究※2で、肉全般をたくさん食べる男性(139g)は、そうでない男性(23g)に比べて結腸がんに罹る者が1.44倍多かったという報告があります。
 また、赤身肉をたくさん食べる女性(104g)はそうでない女性(15g)に比べて結腸がんに罹る者が1.48倍多かったそうです。加工肉については、食べる量が多いグループ(男性19g、女性17g)と少ないグループ(男性0.2g、女性0.4g)とで大腸がんの発症率に大きな差はありませんでした(数値は1日平均摂取量の中央値)。ちなみに、加工肉20gはハム2枚またはウィンナー1~1.5本分くらいです。

 しかし、日本人よりも加工肉の摂取量が多い国では、加工肉の摂取は大腸がんのリスク因子として考えられています。

身体の抵抗力UP食材

里芋

 里芋のねばねば(ガラクタン)は水溶性食物繊維で、腸の免疫力を高める腸内細菌のエサになります。糖質や脂質の排泄にも役立ちます。
 料理例・・・筑前煮、里芋の味噌汁、里芋のグラタン 等

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みかん

 みかんに多い色素成分「β-クリプトキサンチン」は、発がん抑制、閉経女性の骨粗鬆症リスク減少効果などが期待されています。白い筋に多い成分「ヘスペリジン」にも発がん抑制作用があるとされていますが、ヘスペリジンは水に溶けにくく吸収されにくいため、どちらかというと食物繊維としての働きが大きいでしょう。糖分の量を考慮すると、みかんは1日2個までの摂取が目安です。外側の皮をむくだけで食べられるみかんは、ビタミンCの様な水溶性ビタミンの損失も少ないため、簡単な栄養補給におすすめです。

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参考文献等

※1 国立がん研究センターがん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/index.html)

※2 Ribeka Takachi, et al. Red meat intake may increase the risk of colon cancer in Japanese, a population with relatively low red meat consumption. Asia Pac J Clin Nutr. 2011;20(4):603-612.

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 管理栄養士

掲載日:2024年2月20日

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