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看護場面とナイチンゲールの『看護覚え書』その7

 「看護覚え書」はフロレンス・ナイチンゲールによって1859年に書かれた「Notes on nursing : what it is, and what it is not 」の完訳で、現在も看護の思想の原点としてすべて看護を学ぶ者の必読書と言われています。

 このコラムは当院看護師が実際の看護場面を振り返り、「ナイチンゲールの『看護覚え書』」と照らし合わせた学びをご紹介します。

シーン
外泊許可が出ない患者に対して主治医と調整した場面

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 長期入院となっていた患者が年末年始に外泊(一時帰宅)を希望していた。しかし、治療を控えていることや、ADL(日常生活動作)低下、発熱などの症状があったため、主治医は外泊を許可できなかった。

 看護師は病状的にも最後のお正月になる可能性があるため、出来る限り患者の意向に沿いたいと考えていた。

 そこで、リハビリの状況や、息子に家庭環境(家の段差など)や介助ができるか確認し、常に息子がそばにいるのであれば、外泊可能な状況であることを主治医に提案し許可を得ることができた。

看護師の振り返り

-ナイチンゲールの看護覚え書より

 人びとには、長期にわたってひとつ二つの部屋に閉じ込められ、毎日毎日、同じ壁と同じ天井と同じ周囲の風物とを眺めて暮らすことが、どんなに病人の神経を痛めつけるのかは、ほとんど想像もつかないであろう。

引用 F.ナイチンゲール 著『看護覚え書』湯槇ます・薄井坦子・小玉香津子・田村真・小南吉彦 訳・現代社・第7版・2011年 p104

今回の学び
-患者は「変化」を強く望んでいる-

 「看護覚え書」第5章のタイトルである「変化」の原語は、”change”ではなく”variety”(多様さ)です。さまざまな変化を作ることで、患者の身体と心を癒すことができると理解出来ました。

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 看護部

掲載日:2024年3月11日

出典

フロレンス・ナイチンゲール 著『看護覚え書』湯槇ます・薄井坦子・小玉香津子・田村真・小南吉彦 訳・現代社・第7版・2011年

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