漢方薬について患者さんからよく聞かれる質問を2つ紹介し、それぞれ薬剤師の視点から回答します。

A一般的にはお湯で溶かして飲む方が良い場合が多く、その理由は次の通りです。

• ・溶かすことで香りが発生し、その香りで漢方薬の効果を一層高めるため。
• ・溶かすことで味が口全体に広がり、味によって漢方薬の効果を一層高めるため。
• ・お湯自体が体を温め、漢方薬の効果を一層高めるため。

また風邪で寒気がある場合に、「葛根湯」が処方された方で「葛根湯を粉薬のように水で飲んでいるけど、あまり効果を実感しない」という患者さんがいます。

このような場合、「今度はお湯で溶かして葛根湯を飲んでみてください」と伝えると、葛根湯が効くようになったと喜ばれるケースをたまに経験します。

お湯で飲むのは手間もかかりますし大変ですが、その分メリットも多いため、十分な効果を得るためにはお湯で溶かして飲んでみてください。

ちなみに、漢方薬の中にはお湯で飲むと逆効果になる場合もあります。それは、のぼせや熱などを伴い体が熱い状況であり、これ以上熱を加えると症状が悪化する場合があります。この場合、漢方薬をお湯で溶かした後にある程度冷ますか、水で飲むのが好ましいです。

A漢方薬には副作用が少ないと思う方もいるかもしれませんが、これは間違いです。

体質や症状に合わない漢方薬を使ったり、大量に使いすぎたり、薬の組み合わせが悪かったりすると、さまざまな副作用が起こる場合があります。

また、市販の風邪薬や胃薬にも漢方薬と同様の成分が含まれていることもあり、処方された漢方薬との飲み合わせで副作用が起きてしまうこともあります。

医師の指示を守って正しく服用し、気がかりがあれば医師や薬剤師へ相談してください。

１．田茂淳哉.「必要な知識はこれだけ！1日で漢方の服薬指導ができるようになる本」.パブフル,2018.128p

執筆者：函館五稜郭病院　薬剤師

掲載日：2024年3月22日