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【医療コラム】糖尿病と血糖自己測定(SMBG)について

私たちの身体は、食事によって摂取した炭水化物(糖質)を主なエネルギー源の一つとして利用しています。

炭水化物(糖質)は消化によってブドウ糖(グルコース)に分解され、小腸から血液中へ吸収されます。血液中のブドウ糖(グルコース)濃度=血糖値が高くなると、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって血液中から細胞内に取り込まれます。このインスリンの働きによって血糖値が一定になるようコントロールされています。

糖尿病とは

何らかの原因によってインスリンが分泌されない、または十分に作用しないために血液中から細胞内にブドウ糖(グルコース)が取り込まれず、血糖値が上昇してしまう病気を糖尿病といいます。

糖尿病には、膵臓からインスリンが分泌されないことにより血糖値が高くなるⅠ型糖尿病、生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが分泌されにくい、または効きにくくなることで血糖値が高くなるⅡ型糖尿病、妊娠糖尿病など様々な種類があります。

血糖値が高い状態が続くと、神経障害や網膜症、腎臓障害、動脈硬化などの合併症を引き起こす可能性があり、血糖値をコントロールするために食事や運動療法、内服薬、インスリン注射などの治療を行います。

血糖自己測定(SMBG)について

血糖自己測定(SMBG:Self Monitoring of Blood Glucose)とは、簡易血糖測定器を用いて自宅で患者さん自身が血糖測定を行うことです。診察時の測定だけでなく日常生活の中での血糖値を知ることで、インスリン投与量の調整や食事内容の改善など、良好な血糖コントロールに役立てることができます。

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簡易血糖定器は、指先から針を刺す(穿刺)器具を用いて血液を採取し、機器本体に差し込んだセンサーに血液を付けることで血糖値を測定します。少量の血液、短時間(約5秒)で測定できることが特徴です。

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私たち臨床工学技士は穿刺器具や測定器の使用方法の説明、また機器の不具合への対応を行っています。穿刺器具や本体の故障による不具合もありますが、測定方法や機器の保管方法を見直すことで改善する場合もあります。

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実際にあった問い合わせや注意事項

※使用機器により、エラー表示や部品名称は異なりますので、ご注意ください。

機械のエラー表示「血液量が少ないことによる測定」がでましたが、どうしたらいいですか?

穿刺した指の根本から圧迫してみましょう。

血液量が足りない場合、針を刺した指の根元から血液を絞り出してみましょう。指先のみを圧迫して絞り出そうとすると周りの組織液が混ざって血液が薄まってしまい、正確な値が出ないことがあります。

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また、毎回同じ部位に穿刺すると皮膚が固くなってしまい、血液が出にくくなってしまいます。針を刺す位置や指を変えみましょう。

 

 

機械のエラー表示「センサーを交換して~」が、交換しても出ます。どうしたらいいですか?

使用期限が切れている可能性があります。

本体に差し込むセンサーを密閉容器に入れて保管し、使用期限を守りましょう。

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その他、測定が上手くいかない、正確な測定が出ない等…

測定前に必ず手洗いをし、乾燥してから測定してみましょう

果物など糖分を触った手で測定すると値が高く出たり、水で濡れているままの手で測定すると値が低く出ることがあります。

 

 

 その他にも測定方法がわからない、機器の調子が良くないなど不安な点がありましたら、医療機関や機器メーカーまでお問合せください。

参考資料

・LifeScan Japan株式会社公式WEBサイト(https://professional.onetouch.jp/products/onetouch-verioreflect)2024年4月確認

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 臨床工学技士

掲載日:2024年4月30日

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