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【医療コラム】血液培養検査の時間短縮化について

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 血液培養検査は、感染症等を疑われる患者さんに対して、血液中に含まれる細菌などを検出する検査です。重症度や緊急度が高い患者さんは敗血症を疑われる場合も多く、迅速な起因菌の特定が必要です。

 当院では、BDバクテックFXシステム(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)を導入し、迅速な検査体制に取り組んでいます。

 今回は、このシステムの仕組みについて、臨床検査技師の視点から解説します。

測定原理

 患者から採取した検体を培養ボトルに注入した後、装置に装填して、培養・測定を行います。

 培養ボトルに細菌などの微生物が存在すると、培養ボトル内の培地の栄養素を代謝して、二酸化炭素(CO2)を放出します。ボトルの底にあるセンサーがCO2と反応します。

 これによって、センサーの蛍光物質に吸収される光の量が変化します。各ステーションの光検出器で蛍光のレベルを測定しますが、このレベルは微生物が放出したCO2の量に比例します。

 この測定結果は、装置にあらかじめプログラムされた陽性パラメータに従って判定されます。陽性ボトル、すなわち微生物が検出されたボトルがある場合は、装置前面のランプが赤く点灯し、警報音が鳴り、ディスプレイにその旨が表示されます。

測定後の流れ

 陽性ボトルが検出された場合、陽性ボトルを装置から抜き取り、判定結果の確認のために、微生物の染色を行ったり、対象の微生物だけを分離して個別に培養を行ったりすることで、微生物の種類を確定します。

参考資料

・一般社団法人日本臨床検査機器・試薬・システム振興協会(JACLaS)(https://jaclas.or.jp/)

・日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 (https://www.bd.com/ja-jp)

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 臨床検査技師

掲載日:2024年6月20日

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