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【医療コラム】CT用「造影剤」とは?

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 造影剤を使った「CT造影検査」は、点滴をしながら造影剤と呼ばれる薬を体に循環させた状態で撮影する検査です。

 単なるCT検査とは違い、臓器がより分かりやすく映るため、病気の診断や治療に役立ちます。

 今回はこの「造影剤」について、放射線技師の観点から解説します。

CT用「造影剤」とは?

 CT用造影剤は、世界中の病院で広く使用されている薬剤です。これは、ヨード(ヨウ素…昆布などに含まれるミネラルの一種)を原料として作られた液体で、血管から注入して血液とともに体中に分布する性質を持っています。

 CT画像のコントラスト(画像の明暗、鮮やかさの程度)を高めるので、病変部を判別しやすくなり、血管の様子や広がりを正確に評価するのに役立ちます。これにより医師は病気の診断や治療計画を立てる際に重要な情報を得ることができます。

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「造影剤」の作用

造影剤を注入されると体が熱く感じることがあります…

これは血液との浸透圧に違いにより刺激を受けたことに対する体の「正常な」反応ですので、数分で消えて残ることもありません。

副反応(副作用)について

また、わずかですが副反応(副作用)が現れることがあります。軽症の反応としては嘔気、嘔吐、くしゃみや咳、発疹やかゆみ、喉の不快感などがあります。基本的に軽症の場合はすぐに治療が必要になることは少ないです。

中等症の反応としては血圧低下、呼吸困難、顔面浮腫などの症状があり治療が必要になります。これらの症状がさらに重症化すると呼吸停止や心停止など生命に関わってくることがあります。

副反応が発生する頻度については、軽症では100人に対して2-3人程度、重症のものは10万人に1人の割合で発生するといわれています。多くの場合造影剤注入後すぐに症状が出ますが、数時間から数日経過してから症状が出ることもあります。

重篤な副反応が発現した場合には医療機関内で処置をしますが、軽症な場合には、尿によってCT用造影剤が排泄されるため検査前後で水分を多めに摂ることも有効です。

参考

・医療事故調査・支援センター、一般社団法人 日本医療安全調査機構「医療事故の再発防止に向けた提言第3号 注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析」平成30年1月(https://www.medsafe.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=51)

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 診療放射線技師

掲載日:2024年6月29日

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