【医療コラム】体調の悪い日を乗り越える、”シックデイ・ルール”
暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は、糖尿病患者さんに注意していただきたい「シックデイ」についてお話しします。
シックデイとは
みなさんは“シックデイ”という言葉を聞いたことがありますか?直訳すると
シック(sick) ⇒ 体調が悪い、病気の
デイ(day) ⇒ 日
糖尿病患者さんにとって“体調の悪い日”を意味します。
具体的には、糖尿病患者さんが感染症などの病気にかかり、下痢、発熱、嘔吐などの症状を起こすことで普段通りの食事ができなくなる状態をいいます。感染症以外にも、歯科で歯を抜いた時や妊娠中のつわりもシックデイに入ります。
シックデイになるとどうなるの?
シックデイの時は食事がとれなくなってしまうため、血糖値が下がってしまい、低血糖になる可能性があります。
逆に、体が危険を察知して血糖値を上げるように働きかけ、普段よりも血糖値が上がりやすい状態になる場合もあり、血糖コントロールが不安定となってしまいます。
暑い日はシックデイに注意!
暑い日は食欲が落ちてしまい低血糖になってしまうことがあります。また、熱中症の場合は脱水状態となるため、尿から糖分を捨てることができなくなり血糖値が上昇します。
熱中症予防には水分補給としてスポーツドリンクなどの清涼飲料水が有効ですが、一度にたくさん飲んでしまうと血糖値がどんどん上昇し高血糖となるばかりか、体が尿を増やして糖分や水分を出そうとするため、より熱中症になりやすくなってしまうので注意が必要です。
シックデイ・ルール
シックデイをうまく乗り切るために“シックデイ・ルール”を守りましょう。ただし、対応は患者さんごとに異なるため、事前に主治医の先生に相談し、自分はどう対応すべきか確認しておく必要があります。
① 温かく、安静に |
② 食事や水分(1日1~1.5ℓ)をできるだけ摂る |
③ 症状をこまめにチェックする(血糖自己測定は3~4時間ごとに行う) |
④ 食事できなくても、自己判断でインスリン注射を中止しない |
⑤ 早めに主治医と連絡を取るようにする (発熱や消化器症状が強いとき、治療薬の対応がわからないときは、必ず受診する) |
シックデイは誰にでも起こり得ます。いざというときに落ち着いて対応できるようにするためにも、自己判断せず、日頃から主治医と話し合っておくことが大切です。
参考文献
糖尿病情報センター(https://dmic.ncgm.go.jp/general/index.html)
テルモ糖尿病ケアサイト(https://mds.terumo.co.jp/)
執筆情報
執筆者:函館五稜郭病院 薬剤師
掲載日:2024年8月30日