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【医療コラム】お薬とお酒について

これから忘年会などで何かとお酒を飲む機会が増えてくる時期かと思います。今回はお薬とお酒についてお話します。

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お酒と肝臓病

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お酒の飲みすぎにより、いろいろな臓器に病気が起こりますが、なかでも肝臓病は最も高頻度で、かつ重篤にもなる病気です。アルコール性肝障害は一般的に飲酒量が多いほど、飲酒期間も長いほど進行しやすいのですが、若年の肝硬変や、女性の中には比較的少ない飲酒量で短期間に肝硬変になる人がいるなど、個人差や性差が大きいことも知られています。

「節度ある適度な飲酒」とは?

厚生労働省では1)、通常のアルコールを分解できる機能を持った日本人においては、「節度ある適度な飲酒」として1日平均純アルコールで約20g程度を勧めています。

これは、ビール(アルコール度数:5%)でいうと500mL、日本酒(アルコール度数:15%)では1合(180mL)を指します。

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お薬とお酒を一緒に飲んではいけない理由

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①薬の代謝に影響するため

“薬の代謝”とは、肝臓などで薬が別の形へ変化することを指します。この変化には、体の中で役目を終えた薬が排泄されやすい形へ分解される場合と、変化によってできた物質が体の中で効果を示す場合があります。お酒を飲みすぎると肝臓の機能を弱め、“薬の代謝”にも影響することがわかっています。

例えば、解熱鎮痛薬として知られるアセトアミノフェンですが、お酒と一緒に飲んでしまうと肝臓に毒性をもつ代謝物が増加し、急性の肝機能障害を起こすことがあるため注意が必要です。

②身体への作用が似ていることから起こる副作用

お酒には神経を鎮める作用があるため、睡眠薬や抗不安薬、抗アレルギー薬と一緒に飲んでしまうと、薬の効果が強く出すぎたり副作用が出やすくなるため注意が必要です。

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 薬剤師

掲載日:2024年11月20日

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