【医療コラム】呼吸不全について
呼吸不全とは、血液中のガス(酸素、二酸化炭素)の分圧が異常になり、生体が正常な機能を営めない状態をいいます。
動脈血液ガス分析で、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr(mmHg)以下、すなわち低酸素血症を示すとき、呼吸不全と判断されます。
呼吸不全とは、血液中のガス(酸素、二酸化炭素)の分圧が異常になり、生体が正常な機能を営めない状態をいいます。
動脈血液ガス分析で、動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr(mmHg)以下、すなわち低酸素血症を示すとき、呼吸不全と判断されます。
臨床経過により、急性呼吸不全と慢性呼吸不全に分類されます。
急性呼吸不全は、数時間から1ヶ月未満で経過します。主な原因疾患は、肺炎などの感染症や外傷、術後性無気肺、心原性肺水腫などがあります。
慢性呼吸不全は、呼吸不全の状態が1ヶ月以上持続するものです。主な原因疾患は、COPDや間質性肺炎などがあります。感染症や心不全の合併などにより、急性増悪をきたすことがあります。
動脈血液ガス分析で、PaO2が60Torr以下を示すとき、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が45Torr以下のものをⅠ型呼吸不全、45Torrを超えるものをⅡ型呼吸不全と分類します。
Ⅰ型呼吸不全は、酸素(O2)の取り込みが低下しますが、二酸化炭素(CO2)の排出は正常です。
一方、Ⅱ型呼吸不全は、O2の取り込みが低下するだけではなく、CO2の排出も低下するので、CO2が蓄積してしまい、高二酸化炭素血症となってしまいます。
原因疾患の治療とあわせて、呼吸管理が治療の中心となります。急性および慢性呼吸不全の急性増悪では、第一に低酸素血症の改善を目的として、酸素療法や人工呼吸が症例に応じて行われます。慢性呼吸不全の安定期では、在宅酸素療法(HOT)が有効となります。
1)医療情報科学研究所 編, 岡庭 豊「病気がみえる vol.4 呼吸器 第3版」株式会社メディックメディア,2018年12月
執筆者:函館五稜郭病院 臨床検査技師
掲載日:2024年11月30日