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【医療コラム】軟膏剤やクリーム剤の塗り方は?

今回は、軟膏(なんこう)剤やクリーム剤を使用する上で、病院の薬剤師がよく受ける、3つの質問についてお話しします。

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1.軟膏剤とクリーム剤の違いは?

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軟膏剤とクリーム剤では“基剤”が異なります。

基剤とは、軟膏剤やクリーム剤を安定させるための土台となる成分の一つで、有効成分を溶解し皮膚に効率よく浸透させる役割があります。

一般的な特徴として、軟膏剤は病変部に対する保護作用が期待され、皮膚への刺激が少ないとされる一方で、べたつきがあり水で洗い流すのが難しいことがあります。

それに対してクリーム剤は、さらっとなめらかでべたつきにくく、水で洗い流すのが容易である特徴がありますが、軟膏に比べて皮膚への刺激が強いため、傷のある部位やジュクジュクした部位には適していません。

2.1回に使用する量はどのくらい?

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一般的に、“手のひら2枚分に塗る量”として「成人の人差し指の先から第一関節までの長さにチューブから軟膏を絞り出した量」が適正な量と言われています。

ただし、これはチューブの口径が5mmの製品における量とされており、国内で使用されている軟膏剤・クリーム剤の口径は製品間で様々であるため、口径を確認した上で使用する量を調節する必要があります。

3.2種類以上の軟膏剤やクリーム剤を塗布するときの順番は?

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2種類以上の外用剤を塗布する順番については、時として効果を高める塗り方と副作用を抑えるための塗り方が存在するため、詳しい塗り方については医師・薬剤師へご確認ください。

特に理由がない場合、一般的には塗る面積の広い方から先に塗布することが推奨されます。

例えば、腕全体に保湿剤を塗布し、腕の赤くなっている湿疹にのみステロイド剤を塗布する場合、塗る面積の広い保湿剤から先に塗り、後からステロイド剤を湿疹の部分だけに塗ります。この順序を逆にしてしまうと、湿疹部以外のところまでステロイドを塗ってしまうことにつながるおそれがあります。

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 薬剤師

掲載日:2025年2月10日

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