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【医療コラム】花粉症について

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今回は、「花粉症」についてそのメカニズムや対策を、薬剤師の視点からお話しします。

花粉症が起こるメカニズム

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 花粉(アレルゲン)が目や鼻から体に入り、体内の免疫システムによって異物とみなされると、それに対抗するための抗体がつくられます。

 この抗体は、花粉に接触するたびにつくられるため、少しずつ体内に蓄積されます。蓄積量があるレベルに達すると、次に花粉が入ってきたときに、アレルギー反応を起こすヒスタミンなどの化学物質が分泌され、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった花粉症の症状を起こします。

花粉症になる人とならない人の差は、抗体がつくられやすい体質といった遺伝的要因、花粉を吸いこんだ期間や量といった環境的な要因をはじめ、さまざまな事柄に影響されると考えられています。

原因となる花粉の種類

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 花粉症といえばスギ花粉症が代表的ですが、日本では花粉症の原因となる植物は約50種類あるといわれています。地域によって生息する植物や飛散時期が異なるため、原因となる植物や発症時期には多少の地域差があります。

植物 飛散時期 地域性
スギ 2~4月頃 本州、四国、九州の山中に分布する。北海道にはほとんど存在しない。
ヒノキ 3~4月頃 本州の福島以南と四国、九州に分布する。北海道にはほとんど存在しない。
シラカバ 3月下旬~6月頃 北海道や本州の中部以北に分布している。
ブタクサ 8~9月頃 東北以北は少ないが、日本全域に分布する。
ヨモギ 9~10月頃 日本全域に分布する。

花粉症対策について

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①マスク

マスクは吸い込む花粉量を6~3分の1程度に抑えることができるといわれています。

②メガネ

メガネは目に入る花粉を3~2分の1程度に抑えてくれるといわれています。

③花粉対策スプレー

イオンなどを用いて花粉を反発・吸着するようなスプレーが市販されています。

④空気清浄機・加湿器

室内の花粉の飛散を防ぐためには空気清浄機が有効です。また、室内が乾燥していると鼻の粘膜のバリア機能が低下したり、花粉が飛散しやすくなることがあるので、加湿をするとより効果的です。

⑤医薬品

処方薬・市販薬ともに様々な成分・剤形のお薬が取り扱われています。詳しくは医師・薬剤師へご相談ください。

⑥減感作療法

原因となる花粉の成分を含む薬を使用することで徐々に体を慣らし、花粉症によるアレルギー反応を弱める方法です。詳しくは医療機関へご相談ください。

参考文献

・厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/index.html)

・全日本病院協会ホームページ(https://www.ajha.or.jp/)

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 薬剤師

掲載日:2025年4月30日

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