【医療コラム】アルツハイマー病に関する新しい検査「アミロイドPET」
アルツハイマー病とは
知覚、判断、記憶、思考、行動の決定などの脳の働きをまとめて、認知機能と言います。こういった認知機能が低下する最も一般的な原因は加齢ですが、病気によって認知機能が低下するのが認知症であり、よく知られるアルツハイマー病も認知症の一種です。
知覚、判断、記憶、思考、行動の決定などの脳の働きをまとめて、認知機能と言います。こういった認知機能が低下する最も一般的な原因は加齢ですが、病気によって認知機能が低下するのが認知症であり、よく知られるアルツハイマー病も認知症の一種です。
アルツハイマー病は、脳の灰白質という部分に沈着したアミロイドβと呼ばれる物質が病気の原因と考えられています。
このアミロイドβを灰白質からとりのぞく治療薬が、最近になって開発、発売されました。こうした治療薬はアミロイドβとは無関係な認知症には効果がありませんので、あらかじめアミロイドβが蓄積しているかどうかを確認する必要があります。
アミロイドβの蓄積状況を確認するには、腰骨の間に注射針を刺して脳脊髄液を採取するか、アミロイドPETで脳の撮影をするという、二通りの方法があります。どちらの検査にも利点はありますが、アミロイドPET検査の利点は比較的安全に実施できるということでしょう。
函館五稜郭病院では2025年の5月よりアミロイドPET検査を開始しました。
※PDRファーマ株式会社より許諾を経て掲載
この図はMRIの画像にアミロイドPETのカラー画像を重ねて表示したものです。下段が正常と判断された画像ですが、上段の画像では脳の表面(灰白質)まで赤色~黄色に染まっており、灰白質にアミロイドβが沈着していることがわかります。
新たに開発された治療薬は低下した認知機能を改善させるものではないため、現在の認知機能の状態を評価する必要があります。他にも治療薬の使用には様々な条件があるため、治療薬の使用は特定の医療機関に限られます。アミロイドPET検査は、そうした特定の医療機関からの依頼で実施します。
なお、函館五稜郭病院では、特定の医療機関からのご紹介のみにより、このアミロイドPET検査を実施しています。当院の検査体制についてお知りになりたい方は次のリンクもご参照ください。
執筆者:函館五稜郭病院 PETセンター長 梶 医師
掲載日:2025年7月30日