【医療コラム】妊娠中の解熱鎮痛剤の使用に注意しましょう

妊娠中の薬の使用は主に初期での催奇形性(赤ちゃんに奇形を生じさせる性質)が問題となりますが、妊娠中期以降にも注意が必要な薬が身近にあるということをご存知ですか?
妊娠中の薬の使用は主に初期での催奇形性(赤ちゃんに奇形を生じさせる性質)が問題となりますが、妊娠中期以降にも注意が必要な薬が身近にあるということをご存知ですか?
アセトアミノフェン(カロナール)は全妊娠期間を通して比較的安全に使用できる解熱鎮痛薬です。しかし、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる解熱鎮痛剤の使用は注意が必要です。
ロキソプロフェン(ロキソニン) イブプロフェン(イブ、リングルアイビー) アスピリン(バファリン) ジクロフェナク(ボルタレン) ケトプロフェン(モーラス) その他、病院から処方される薬のほか、市販薬の頭痛薬や風邪薬にも含まれていることがあります。 |
特に妊娠後期(28週以降)での胎児の動脈管早期閉鎖の危険があります。動脈管は胎児の血液循環に重要な血管ですが、胎児が出生後に呼吸を始めると閉じていきます。しかし、出生前に閉じてしまうと心臓に負担がかかってしまい、赤ちゃんが亡くなってしまったり、生まれた後も後遺症が残ってしまったりする場合もあります。
最近では妊娠中期(16週〜27週)以降においても羊水過少が報告されています。これは胎児の腎機能が低下し胎児尿が減少することが原因と考えられています。
また、飲み薬以外のパップ、テープなどの貼り薬、ゲルなどの塗り薬でも影響があることがわかっています。
治療上の有益性が上回る場合は投与できることがありますが、妊娠中は市販の薬も含め、自己判断で薬を服用せず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
執筆者:函館五稜郭病院 薬剤師
掲載日:2025年10月10日