【医療コラム】座りっぱなしは本当に不健康?
「座っりっぱなし」がどことなく、不健康なイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。今回は座りっぱなしによる影響を、厚生労働省が2024年1月に発表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」に基づいて、保健師が解説します。
まず世界保健機関(WHO)は、全世界における死亡に関する危険因子として、高血圧、喫煙、高血糖に次いで、身体活動・運動の不足を第4位に位置づけています※1。
そして日本においては、喫煙・高血圧に次いで、非感染性疾患による死亡に対する3番目の危険因子であることが示唆されています※2。
このことから、病気にかかる可能性や、死亡リスクが高い要因として、身体活動・運動の不足が様々な研究によって示されています。結論的に言えば、やはり座りっぱなしは不健康そうだと言えるでしょう。
ところで活動状態とはどのような状態でしょうか。同ガイドにおいては、次のように定義されています。
実は定義上では、座りっぱなし(座位行動)は身体活動の一部とされています。しかし、身体活動ではありますが「エネルギー消費量が低い状態」ということです。
座りっぱなし(座位)の時間と、死亡リスクの関係
それでは、同ガイドの「成人版」より、座りっぱなしのリスクについて科学的な根拠を抜粋して解説します。
まず、身体活動と生活習慣病発症や死亡リスクの間では、身体活動量が多いほど、病気の発症や死亡リスクが低いという関係が見られています(図1)※3。

1日あたり10分の身体活動を増やすことで、生活習慣病の発症や死亡リスクが約3%低下するとも言われています※4~6。
また、座っている時間と死亡リスクを研究した分析(メタ解析)では、座っている時間の増加に伴い、死亡リスクが増加することが報告されています(図2)※7。

ですが、座った状態を何度も中断(30分毎)することは、食後の血糖値や中性脂肪などの心血管代謝疾患のリスク低下に重要であると報告されており、少しでも体を動かすことが健康に良い影響を及ぼすことが分かっています※6。
以上により、やはり皆さんの感覚と同じく、座りっぱなしは、病気になる可能性が高くなる、またはそのような病気によって亡くなってしまう原因となりやすい。つまり、「座りっぱなしは不健康だ」と言えるでしょう。









