【医療コラム】便秘薬は癖になるってホント!?
便秘薬は癖になると聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。結論から申し上げると、答えは「イエスでもあり、ノーでもある」です。便秘薬には「癖になりやすいタイプ」と「癖になりにくいタイプ」があります。
便秘薬は癖になると聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。結論から申し上げると、答えは「イエスでもあり、ノーでもある」です。便秘薬には「癖になりやすいタイプ」と「癖になりにくいタイプ」があります。
成分例 センナ、ダイオウ、ビサコジルなど。
どうして癖になる? 休んでいる腸を「ムチで叩いて」無理やり働かせるようなものです。叩かれ続けると、腸が痛みに慣れて(耐性といいます)、もっと強くたたかないと動かなくなるから癖になってしまいます。
注意点 「漢方だから安心」、「植物性だから優しい」は誤解です!成分にセンナやダイオウが入っていれば、それは「刺激性」です。
成分例 酸化マグネシウムなど
どうして癖になりにくい? 硬くなった便に「水を集めて」柔らかくし、スルっと出しやすくするものです。腸を直接刺激しないので、習慣性(依存性)が極めて低く、便秘薬はまずはこれから始めるのがセオリーとなっています。
注意点 マグネシウムが含まれていると腎機能が低下している方は使いにくい・・・!(腎臓が弱い方は、体内にマグネシウムが溜まりやすくなるため、必ず医師や薬剤師に相談してください)

刺激性下剤に頼りすぎてしまうと、刺激になれてしまい、以前と同じ量では便意を感じなくなってしまいます。結果として、より強い薬や多量服用につながることがあります。このサイクルこそが依存の始まりなのです。そして、薬が効いた時だけ働き、薬が無いと働けない腸になっていまします。
刺激性下剤は市販もされており常用されている方も多いでしょう。できれば刺激性下剤から「非」刺激性下剤に変えていきたいところです。刺激性下剤は、どうしても出ない時だけの「レスキュー(頓服)」としてお守りにするのがお勧めです。
一度自分がいま飲んでいる薬がどっちのタイプか、パッケージの裏(成分表)を見てみてください。分からないことや困ったことがあれば医師や薬剤師に聞いてくださいね。
日本消化管学会「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」2023年7月,南江堂
執筆者:函館五稜郭病院 薬剤師
掲載日:2025年12月27日