【医療コラム】色と光、そしてAIで“見落としゼロ”をめざす
──進化する画像強調内視鏡とAI内視鏡の世界
胃カメラや大腸カメラと聞くと、「つらい」「怖い」といったイメージが浮かぶかもしれません。しかし、この20年で内視鏡は大きく進化し、検査に伴う苦痛は大きく軽減されてきました。さらに近年は、病変をより確実に見つける技術が飛躍的に向上しています。その中心となるのが、画像を見やすくする画像強調内視鏡と、急速に普及しつつあるAIによる検査支援技術です。当院でも様々な画像強調内視鏡を駆使し診療にあたっています。※AIについては検討中です。
画像強調内視鏡の進化: 白色光から“多色光”へ
従来の内視鏡(およそ2005年頃まで)は、太陽光に近い色温度(約5000~6000K)の白色光のみで体内を観察していました。しかし、小さな早期がんや平らな大腸ポリープは、周囲の粘膜と色や形が似ているため、白色光だけでは見分けにくく、「見えていても気づきにくい」ことがありました。
そこで登場したのが画像強調内視鏡(IEE:Image Enhancement Endoscopy)です。IEEは、光の波長や色の違いを利用して、通常の白色光では目立たないわずかな色調変化や粘膜の模様を強調して表示します。
2005年にオリンパス社が狭帯域光観察(NBI:Narrow Band Imaging)を発表したことをきっかけに、各メーカーがさまざまなIEE技術を開発してきました。現在では、観察の目的に応じて最適な表示モードを切り替えながら検査を行うことができる時代になっています。
画像強調内視鏡がもたらすメリット
画像強調内視鏡の最大の利点は、小さな変化を「見やすい形」に変えてくれる点です。
● 早期がんの発見率向上
● 平坦病変・微小病変の拾い上げ
● 出血源の迅速な特定
医師による観察の質を均一化し、見落としのリスクを減らす効果が期待されています。
代表的なIEE技術
オリンパスマーケティング株式会社
■ NBI (Narrow Band Imaging)
青と緑の波長を強く出し、微細血管の形や粘膜模様を浮かび上がらせます。早期がんに特徴的な血管パターンが見えやすく、特に拡大観察で効果を発揮します。
■ RDI(Red Dichromatic Imaging)
赤色光を中心に、出血点や血液の流れを際立たせる技術です。緊急内視鏡や術後の観察で「どこから出血しているのか」を瞬時に把握することができます。
富士フイルム株式会社
■ BLI(Blue Light Imaging)
青色光と特殊な光量調整によって明るい画像で微細構㐀を観察できます。NBIと同様に血管や粘膜模様を強調しますが、より明るく見やすい点が特徴です。
■ LCI(Linked Color Imaging)
色の差を大きくすることで、赤はより赤く、白はより白く表示され病変の拾い上げに有効です。特に胃炎や、ヘリコバクターピロリ関連所見に有効です。
内視鏡AIの時代へ
内視鏡AIとは、内視鏡で撮影した映像をコンピューターが自動で分析し、ポリープやがんの可能性がある部分を知らせてくれる技術です。医師の代わりではなく、見落としの低減や、診断の補助などサポート役として使われます。これにより検査の安全性や質が向上し、医師の経験に左右されにくい医療が実現しつつあります。すでに大腸内視鏡を中心に世界各国で導入が進んでおり、今後さらに広がると期待されています。
代表的なAI
■CAD EYE:富士フイルム
上部は検出のみ。下部消化管は検出と鑑別の両方に対応のAI。
まとめ
内視鏡は、「医師の技術」だけに頼る時代から「チーム医療で支える」時代となり、IEEとAIが協力して支える時代へと大きく変わっています。患者さんにとっては、より安心・安全で見落としの少ない検査が受けられるようになり、医療の質の向上につながっています。IEEとAIの進化は、これからの内視鏡診療に欠かせない柱となっていくでしょう。当院でもAIの導入を視野にいれ、より質の高い検査・治療が提供できるよう研鑽を重ねてまいります。






