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アトピー性皮膚炎の新しい治療-注射薬の登場-

【注意】この記事は2022年8月1日時点の情報をもとに執筆されています。

「アトピー性皮膚炎」とは

アトピー性皮膚炎とは「増悪、軽快を繰り返す、かゆい湿疹が出てくる疾患」です。

多くの患者さんはアレルギー性鼻炎、気管支喘息などの既往があり、アレルギーの要素を持ちます。

アトピー性皮膚炎は様々な病態が混ざり合った疾患で、皮膚の表面にある角層や、その下にある表皮の異常、過剰な免疫応答が関係していたり、「アトピー性皮膚炎になりやすい体質」が遺伝しているケースもあります。

乳児から成人まで、非常に多くの患者さんがいらっしゃいます。重症度は人によって異なり、ごく軽い症状から、日常生活に支障をきたすレベルまで様々です。

子供の場合は大きくなるにつれて改善することが多いものの、大人になってから部分的に症状が再発するケースもあります。

主な治療方法

まずはしっかり外用(ぬり薬)をすることが大事です。

ステロイド外用剤を基本として、必要量の軟膏を十分に外用するだけで症状が良くなる人が多いです。

アトピー性皮膚炎の方は乾燥肌が多いので、しっかり保湿も心がけてもらいます。

最近はそのほかにも免疫抑制剤の軟膏なども増えてきており、症状に合わせて外用剤を選択しています。

さらに瘙痒が強い場合はかゆみ止めの飲み薬を飲んだり、重症の場合には免疫抑制剤の内服を行うこともあります。

当院での治療内容

現在当院では、注射による薬物療法(デュピルマブ)を一部の重症アトピー性皮膚炎患者さんに使用しています。

デュピルマブは抗体製剤と言われるものに分類されており、アトピー性皮膚炎の病態(炎症を起こしたり、かゆみを誘発したり)に影響を与える物質を抑制します(インターロイキン4及び13を介したシグナル伝達の阻害)。

初回は2本、それ以降は2週間に1本の皮下注射を行います。3回目以降は、高額療養費の関係で自己注射にすることが多いです。

治験1)では7割の患者さんが、4か月後に皮疹が治療前の1/4程度にまで改善しており、非常に効果のある薬剤です。

自己注射と聞くと、「こわい」「自分には難しそう」と思われる方も多いですが、実際は医師や看護師がレクチャーしてから自己注射となるので、注射ができなくて問題になるということはほぼありません。

副作用として結膜炎が出ることがありますが、点眼薬等で対応することが可能で、重篤な副作用は多くありません。

ただ、アトピー性皮膚炎患者さん全員がこの治療を受けられるわけではなく、これまでの治療に対して反応が乏しいこと、中等症~重症であることなどいくつか条件があります。

また、たとえ注射での治療を行っても、外用などの基本的な治療も併せて行っていく事が必要です。

アトピー性皮膚炎患者さんで、湿疹がなかなか良くならないなど、困っている方は一度ご相談ください。

診察スケジュールはこちらをご確認ください。(診療科のご案内 > 皮膚科)

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 皮膚科 野村 医師

掲載日:2022年8月1日

参考・出典等

【外部リンク】デュピクセント.jp(SANOFI)
【外部リンク】デュピクセント®を使用される患者さんへ PDF(SANOFI)

※1)国際共同第Ⅲ相検証的試験 (ステロイド外用薬併用療法:CHRONOS) Blauvelt A et al. Lancet 2017;389:2287-2303

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