【診療紹介】当院の理学療法士が、第16回日本循環器学会メディカルスタッフ賞「最優秀賞」を受賞しました
令和8年3月20~22日に開催された「第90回日本循環器学会学術集会」において、三木康寛理学療法士(リハビリテーション科)が『第16回日本循環器学会メディカルスタッフ賞(看護・薬剤・リハ部門) 最優秀賞』を受賞いたしました。 また、本研究成果は国際的な老年医学の学術誌である『Age and Ageing』誌にも原著論文として掲載されました。
受賞および研究の背景
心不全の高齢患者において、筋肉量の減少や身体機能の低下(フレイル・サルコペニアなど)は、再入院や死亡リスクを高める重大な要因です。しかし、現在の筋肉量・身体機能の評価では、年齢や性別による生理学的な違いを考慮せず、画一的な基準(アジア人向けサルコペニア基準:AWGS 2019など)が用いられており、予後予測の精度に限界があることが課題とされていました。
研究の成果
本研究は、当院も参加している国内最大規模の高齢心不全患者レジストリ「J-Proof HF研究」(日本心血管理学療法学会主導)のデータを解析したものです。全国96施設から登録された9,693人の高齢心不全患者(平均年齢83歳)のデータをもとに、退院後1年以内の全死亡を予測するための「年齢(65‒74歳、75‒84歳、85歳以上)と性別を考慮した新たな筋肉量・身体機能指標(上腕・下腿周囲長、握力、歩行速度、SPPBスコア)の基準(カットオフ値)」を開発しました。
分析の結果、この年齢・性別ごとの新基準は、従来の画一的な基準と比較して、予後予測精度が有意に優れていることが証明されました。
今後の展望と社会的意義
この「年齢と性別を考慮した新たな基準」を用いることで、高齢心不全患者さんにおける的確なリスク層別化が可能となります。個々の患者さんの状態に合わせた、より精密な予後予測により、過不足のない適切なリハビリテーションの提供や個別化医療(プレシジョン・メディシン)の推進に大きく貢献することが期待されます。
当院は今後も、臨床業務に邁進するとともに、質の高い臨床研究を通じて全国の医療・リハビリテーションの発展に貢献してまいります。






