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「ダ・ヴィンチ」の導入

da vinci Si

手術支援ロボット『da vinci Si』を道南で初めて導入
― 内視鏡手術は新時代へ―

 腰部背中側の左右にあり、血液中の老廃物をろ過し、尿を生産する腎臓、その機能が低下した状態が腎不全です。透析治療は専用の装置を用い、腎臓の機能に代わる治療を行います。
 透析治療には血液透析と腹膜透析の2種類があります。血液透析は体内から血液を取り出し、専用の装置を通して血液中の老廃物や余分な水分を取り除く治療です。腹膜透析は事前に植え込んだカテーテルを通してお腹の中へ透析液を入れ、体内の毒素や余分な水分を腹膜の血管を通して除去する治療です。
 当院ではこの両方の治療を積極的に取り組んでおり、透析治療が必要になる前の保存期腎不全の段階から移植を含めた腎代替療法の相談を行い、その患者さんに最も合った治療法を選べるサポートをしています。

ダ・ヴィンチとは?

 ダ・ヴィンチは、アメリカで開発された内視鏡下手術支援ロボットです。通常の腹腔鏡手術と比べ、より鮮明な3D映像を得られるほか、メスやハサミといった器具を繊細に動かすことができるため、今まで以上に正確かつ安全な手術を行うことが可能です。とくに前立腺がんの手術に力を発揮し、アメリカでは前立腺がん手術の8割以上がダ・ヴィンチを使用して実施されています。現在、アメリカで約1,600台、ヨーロッパでは約400台が導入されており、ダ・ヴィンチによる治療は世界的に急速に広まりつつあります。

ダ・ヴィンチの特長

 『da vinci Si』は、主に前立腺がんの手術などに使われる腹腔鏡手術支援ロボットです。
ダ・ヴィンチは、ロボットの操作を行う操作盤(サージョンコンソール)、鉗子を装着したロボットアーム部(ペイシェントカート)、内視鏡の映像を映し出すモニター部(ビジョンカート)の3つの部分から構成されています。

サージョンコンソール、ペイシェントカート、ビジョンカート

 前立腺がんの手術では、まず患者さんの下腹部に6か所の小さな穴をあけ、そこから3D内視鏡カメラとロボットのアーム部を挿入します。執刀医はアームから離れた操作盤で、内視鏡カメラから送られてくる鮮明な3D映像を見ながら手術を行います。ロボットのアームは人間の腕よりも可動範囲が広いため、関節の360度回転といったロボットにしかできない手技を行うことができるほか、医師の手ぶれを抑える機能も備えており、より精度の高い手術を行うことが可能です。また、2つの操作盤を接続し、複数の医師が術野を共有することができるため、研修医の育成や指導への活用も期待されています。
 ダ・ヴィンチは泌尿器科のほかにも消化器外科や婦人科などの手術で使用されていますが、当院では当面の間、保険適用となっている前立腺がんの摘出術のみを対象に使用する予定です。

より早期の退院が可能に

 ダ・ヴィンチによる手術は通常の開腹手術に比べ、傷口が小さく抑えられるため、術後の痛みが軽減され、感染症などを起こすリスクも減らすことができます。また、手術後の回復も早く、より早期の社会復帰が可能となるなど、患者さんにとっても多くのメリットがあります。

医療費について

 平成24年4月より、ダ・ヴィンチによる前立腺がんの全摘出手術が保険適用となりました。医療費の負担は従来の手術と大きくは変わりません。また、高額療養費制度を利用すると、さらに負担を少なくすることができます。金額は患者さんの年齢や所得により変わります。下表はあくまで目安の金額ですので、ご了承ください。

ダヴィンチによる前立腺全摘術の医療費の例
(入院期間10日間の場合)

健康保険を使用する場合(一般所得)
70歳未満の方(3割負担) 約500,000円
70歳以上の方
(所得により異なる場合がございます。)
約44,400円
高額療養費制を利用する場合(一般所得)
70歳未満の方 約80,100円
70歳以上の方
(所得により異なる場合がございます。)
約44,400円

 ダ・ヴィンチによる前立腺がんの手術を希望される場合や不明な点がある場合は、泌尿器科の主治医にご相談ください。

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