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函館五稜郭病院 > 医療コラム > 【医療コラム】質の良い睡眠をとるためには?

そもそも、睡眠の質とは?

睡眠中は、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を4~5回繰り返しています。ノンレム睡眠にはレベルがあり、もっとも深い眠りを得られるのが最初の1~2回です。つまり寝入ってから約3時間の間に深い眠り=ノンレム睡眠に達すれば、脳も体も休ませることができるため、朝起きたときに「ぐっすり寝た」という満足感を得ることができます。

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寝入ってから2~3時間後に分泌されるのが成長ホルモンです。成長ホルモンは単に「成長」を促進させるだけでなく、「細胞の修復」や「疲労回復」に役立っています。皮膚や内臓の細胞を新しいものに入れ替える「ターンオーバー」は成長ホルモンによって行われます。

明け方になると、成長ホルモンに代わってコルチゾールの分泌が高まります。コルチゾールは体内に蓄えられた脂肪をエネルギーに変えるホルモンで、体が目覚める準備を始めます。睡眠の質が良くないと、成長ホルモンが十分に分泌されないうちにコルチゾールの分泌が高くなってしまいます。睡眠不足が続くと肌のコンディションも悪くなり、疲労も取れないのは、成長ホルモンが十分に体にいきわたっていないからかもしれません。

脳の興奮を鎮めることで入眠がスムーズに

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脳が興奮していると体温が下がりにくく、寝つきが悪くなり、眠りも浅くなります。日中に受けたストレスや肉体疲労も脳を活動モードにさせ、家でもスマホやパソコン、ビデオなどいつでも刺激となるのもがあるため、24時間脳が興奮しているといえるかもしれません。寝る前に意識して、刺激を少なくしていくことでより質の高い睡眠がとれるようになります。

単調と退屈にする

単調な状況だと頭を使わないので、脳は考えることをやめ退屈して眠くなります。夕食後や入浴後くらいから少しづつ「刺激のない状況」をつくっていくことがおすすめです。

寝る前に本を読む場合は退屈な本を選ぶ、映画は見入ってしまうので、あまり興味のないテレビ番組をBGM代わりに流しておくのがお勧めです。寝る前は頭を使わずに、リラックスして楽しめることを行いましょう。

強い運動とブルーライトは遠ざける

寝る前の軽い運動は、体温を上げる効果がありますが、過度な運動は交換神経が刺激され、脳が能動的になって眠りを遠ざけてしまうので気を付けましょう。

またスマホやパソコン操作でブルーライトを浴びてしまうと、脳を強く覚醒させてしまいます。寝れているようでも、睡眠の質は悪くなります。寝る前の使用は控えましょう。

参考資料

(1)公益社団法人 日本看護協会 編著「看護職の夜勤・交代勤務に関するガイドライン」2013年2月

(2)オムロン ヘルスケア株式会社「睡眠が健康に与える影響(https://www.healthcare.omron.co.jp)2025年4月確認

(3)社会保険出版社「良い睡眠で快適生活(https://www.shaho-net.co.jp/suimin/)」2025年4月確認

(4)西野精治「スタンフォード式 最高の睡眠」サンマーク出版, 2017年2月

執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 保健師

掲載日:2025年4月10日

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