【医療コラム】重症患者さんに負担の少ない透析治療を!

急激に腎臓の機能が悪くなり、体に毒素や余分な水分が溜まる病気(急性腎不全)や、体内で炎症が起こり悪い物質が急激に増加する病気(敗血症)があります。
それに対して行う治療に持続的腎代替療法(CRRT)があります。重症患者さんに対して行われる血液浄化療法の一つで、臨床工学技士も治療に携わっています。
今回は、持続的腎代替療法(CRRT)について、臨床工学技士の観点から解説します。
急激に腎臓の機能が悪くなり、体に毒素や余分な水分が溜まる病気(急性腎不全)や、体内で炎症が起こり悪い物質が急激に増加する病気(敗血症)があります。
それに対して行う治療に持続的腎代替療法(CRRT)があります。重症患者さんに対して行われる血液浄化療法の一つで、臨床工学技士も治療に携わっています。
今回は、持続的腎代替療法(CRRT)について、臨床工学技士の観点から解説します。
安定した血行動態を保つことができる
24時間、連続的にゆっくりと血液中から体液や老廃物を除去するため、急激な血圧変動が起こりにくく、重症患者さんにも安全に施行できます。
炎症性物質の除去
専用フィルターによる濾過と吸着の作用により、敗血症などで増加する炎症性物質の除去も期待できます。
CRRTと似た治療に間欠的腎代替療法(IRRT)があります。どちらも血中の毒素を浄化し、体の余分な水分を除去する治療です。
CRRTとIRRTの大きく異なる点は治療時間です
持続的腎代替療法 | 間欠的腎代替療法 | |
治療スケジュール | 24時間持続的に行う | 3~4時間を週3回 |
適応となる疾患 | 急性腎不全、敗血症 | 慢性腎不全 |
患者さんへの負担 | 持続的に治療するため 比較的小さい |
数時間内に治療するため 比較的大きい |
IRRT等については、過去のコラムでご紹介していますので是非ご一読ください。
CRRTにおいて臨床工学技士は、装置の準備・操作・管理などの役割を担います。治療前には医師の指示の下、血液回路の組み立てやプライミング(気泡除去などの準備作業)を行います。
患者さんの体調などを見ながら治療を開始し、安全かつ適切な治療を行うため、装置の状態や各種設定に間違いがないか確認しています。
CRRTは主に重症患者さんに対し行う治療ですので、治療の準備や開始操作は特に慎重に行います。
また、CRRTをはじめ、集中治療は多職種と協同することでより良質で安心・安全な治療を提供できるため、臨床工学技士も最善を尽くしています。不安に思われることがあるかもしれませんが、できる限り安心していただけるよう、スタッフ一同努めています。
1)旭化成メディカル株式会社「血液浄化事業部医療従事者向けWEBサイト CRRTとは」(http://www.asahikasei-medical.co.jp/)2025年6月確認
執筆者:函館五稜郭病院 臨床工学技士
掲載日:2025年6月10日