CTのおはなし②
~最近のCT機器の性能~
前回のコラム「CTのおはなし~AI技術の活用~」では、AI技術を利用した画像解析について解説しました。
今回は当院で導入された、新しいCT検査機器装置(キヤノンメディカルシステムズ(株)「Aquilion ONE / PRISM Edition」)について搭載されている機能を「心臓CT検査」中心に紹介します。
超解像画像再構成技術
「Precise IQ Engine(PIQE:ピーク)」
PIQEは高精細の (0.15mmの物体を識別することができる) 画像データを元に冠動脈撮影に特化した再構成技術です。
従来のCTよりも細い血管(末梢血管)まで見えるような高精細な画像の描出を可能にしています。
また、心臓CTで評価が難しいとされる石灰化やステントに接する部分が見えやすくなるため、カテーテル検査をしなくても診断できる可能性が高くなり、患者さんの負担や不安を減らせる技術として期待されています。

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従来の画像再構成
PIQEを適用した画像再構成
1回転で最速0.275秒/回転の高速撮影
CT検査では患者さんが息を止め、なるべく動かないように撮影します。CTは動きにとても弱く、撮影中に動いてしまうと画像がぶれてしまいます。
心臓は常に動いている臓器で、特に不整脈などを持つ患者さんのCT検査が難しいとされており、できるだけ撮影時間を短くするのが望ましいとされています。
新しいCTは1回転で16cmの幅を撮影できる検出器を搭載しています。ほとんどの人の心臓は16cm以下に収まるので、心臓全体を1回転 (撮影時間最速0.275秒) で撮影することができます。
これにより、撮影時間の短縮、造影剤の減量が可能となり、拍動の影響が小さくなってよりきれいな画像が得られます。
心臓の僧帽弁4D※1画像
画像診断処理の診療放射線技師によって詳細に解析され、3D画像を作成します。
冠動脈3D画像
毎年様々な技術の発達により、患者さんにとって、安全で安心な検査を受けることができるようになっています。診療放射線技師も新しい技術や機器を使いこなし、患者さんにより良い医療を提供できるように努めています。
執筆情報
執筆者:函館五稜郭病院 診療放射線技師
掲載日:2022年11月10日
注釈
※1…平面画像をコンピューターで再構築し、立体的な画像として見せるのが「3D」。さらに手を加えて3D画像を「動く」画像として見せるのが「4D」です