【医療コラム】知っておきたい、たばこの話2~加熱式・電子たばこについて~

近年では新型たばことして電子式や加熱式といった、新しい喫煙のカタチが普及してきたのではないでしょうか。
また従来の紙たばこの喫煙者の方は、禁煙はできないけれど、少しでも健康に気遣うために、こういった低タール・低ニコチンのいわゆる”軽いたばこ”を選択される方もいらっしゃいます。
今回は、そんな近年の新型たばこと健康被害について、保健師の視点から解説していきます。
軽いたばこは軽くない
まず、たばこの種類に関わらず、低タール・低ニコチンのたばこは比較して健康被害が少ないのでしょうか。
たばこのパッケージに書かれたニコチン表示量と実際のニコチン吸収量を調査した研究※1・2では、尿中ニコチン量は相関せず、同じくらい高値であったと報告されています。またこれらの軽いたばこで、疾患リスクが減少したという研究成果もありません。
新型たばことは
日本においては「電子たばこ」は2003年より、「加熱式たばこ」は2013年12月よりの販売が開始され、2016年ごろより普及してきたとされています※2。構造上は次のような違いがあります。
加熱式たばこ | たばこの葉を燃焼せず加熱して、ニコチン等を含んだ蒸気を発生させる方式 |
電子たばこ | たばこの葉を使用せず、専用カートリッジ等内の液体を電気加熱させ蒸気を発生させる方式。 日本では、ニコチン入りの電子タバコ用リキッドは医薬品医療機器等法により禁止されています。 |
新型たばこは、紙たばこよりも健康被害が少ないの?
新型たばこについては「紙巻たばこと比べて有害物質が約90%低減されている」と宣伝されているものもあります。
しかし、現時点において電子たばこ等が普及して間もない事もあり、加熱式たばこ製品が今までのたばこ製品よりも害が少ないということや、加熱式たばこ製品の健康への影響については明らかになっていません。一方で、加熱式たばこや電子たばこであっても有害物質が含まれるため、受動喫煙が生じる場合もあります。※4
このため、健康の維持・増進のためには、どのような種類のたばこであっても、喫煙は推奨されません。禁煙については前回の医療コラムにて解説していますので、あわせて是非ご覧ください。
注釈・参考文献等
※1 Benwell MEM, Balfour DJK. The effects of nicotine administration on 5-HT uptake and biosynthesis in rat brain. Eur J Pharmacol. 1982;84:71–77.
※2 一般社団法人くまもと禁煙推進フォーラム「敷地内禁煙と禁煙外来実践の要点-受動喫煙のない環境のために-(2010年公開版)第三章 禁煙外来の実践 禁煙無関心期の喫煙者へのアプローチ p249-56」2008年5月
※3 日本たばこ産業株式会社「公式WEBサイト たばこの基礎知識 たばこの種類 」(https://www.jti.co.jp/tobacco/knowledge/variety/index.html)
※4 日本肺癌学会タバコ対策委員会「禁煙問題に関するスライド集2022年版」2022年12月
執筆情報
執筆者:函館五稜郭病院 保健師
掲載日:2024年2月29日