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【医療コラム】手術支援ロボットについて

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 手術支援ロボットとは、内視鏡手術を支援するシステムのことで、医師はロボットを遠隔操作しながら手術を行います。

 従来の腹腔鏡手術と比べて、3次元の高解像度画像による鮮明な視界と小さな手の動きで極めて精緻な手術を行うことができるようになりました。当院では、道南で初めて手術支援ロボット『da Vinci Si』(米国インテュイティブサージカル社)を導入し、2022年9月にはda Vinci Xi(ダヴィンチXi)に更新しアップグレードしました。

ダヴィンチXiを構成する3つの機械

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1.サージョンコンソール

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 術者がペイシェントカートの鉗子(臓器などを切るハサミ等)を操作する操縦台です。覗き込み口から、3次元化された画像を見ながら鉗子を動かすことができます。

2.ペイシェントカート

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 サージョンコンソールで操作している医師の手の動きを正確に再現し手術を行います。ペイシェントカートには4本のアームがあり、1本が内視鏡カメラ、残りの3本に様々な鉗子を取り付けることができます。
このアームは人の手より大きな可動域をもつため、従来の腹腔鏡・胸腔鏡手術の弱点であった鉗子動作の制限がなくなりました。手ブレ補正機能を搭載しており人の手の動きを緻密に再現するため、正確かつ安全に体内で操作をすることが可能になりました。

3.ビジョンカート

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 da Vinciシステムの監視をおこないます。手術をおこなう上で必要な映像システム・カメラの角度などを設定します。ビジョンカートにはda Vinci専用の電気メスda Vinci VIO dVを搭載しています。

ロボット手術のメリット

 ロボット支援手術は、従来手術に比べて、次のようなメリットがあります。

 ○傷口が小さいため術後の疼痛も少なく回復が早い
○機能の温存が向上
○術後合併症のリスクが低い
○正確な患部の切除が可能

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当院でのロボット支援手術

 函館五稜郭病院では2013年3月に『da Vinci Si』を導入し、泌尿器科で運用を開始しました。2022年9月に『da Vinci Xi』に更新しアップグレードされ、現在では泌尿器科に加え、外科、呼吸器外科、産婦人科の4つの診療科で運用となり、全体で年間約170例のロボット支援手術を行っています。

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手術支援ロボットと臨床工学技士

 手術室には臨床工学技士が4~5名常駐しており、手術室関連医療機器の操作および保守点検を行っています。

 手術支援ロボットに関しては、手術前中後の日常的な点検や準備に加え、手術前にロボットを清潔なビニールで覆うドレーピング業務(写真①)と、ロボットを患者様に近づけるロールイン業務(写真②)、ロボット手術終了時にロボットを患者様から遠ざけるロールアウト業務を行っています。また、手術中のトラブルに関しても随時対応しています。

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執筆情報

執筆者:函館五稜郭病院 臨床工学技士

掲載日:2023年10月20日

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