褥瘡発生率
指標の説明・定義
褥瘡は、看護ケアの質評価の重要な指標の1つとなっています。褥瘡は患者のQOLの低下をきたすとともに、感染を引き起こすなど治癒が長期に及ぶことによって、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。そのため、褥瘡予防対策は、提供する医療の重要な項目の1つにとらえられ、1998年からは診療報酬にも反映されています。
わが国では、褥瘡発生率については一定の算出方法がないため、分母の入院延べ患者数から「入院時すでに褥瘡保有が記録(d1,d2,D3,D4,D5,DU)されていた患者の入院日数」と「調査期間より前に(例えば前月に)褥瘡の院内発生(d1,d2,D3,D4,D5,DU)が確認され、継続して入院している患者の入院日数」を除外することで、すでに褥瘡が発生している患者群を除き、調査期間内に院内新規発生の可能性がある患者に限定しました。入院時刻から24時間以内に発生した褥瘡は院内発生とみなさず、日帰り入院患者、同日入退院患者も分母から除外しました。分子は、調査期間における分母対象患者(院内で新規褥瘡が発生する可能性がある患者)のうち、d2以上の褥瘡の院内新規発生患者数とし、深さ判定不能な褥瘡(DU)・深部組織損傷疑いも含めることとしました。褥瘡の深さについては、日本褥瘡学会のDESIGN-R(2008年改訂版褥瘡経過評価用)とInternational NPUAP-EPUAP Pressure Ulcer Guidelinesを用いています。