函館五稜郭病院

下肢(足)疾患

下肢関節の変性疾患

変形性膝関節症

加齢に伴い多く見られる疾患で膝関節の軟骨や半月板が傷つき,断裂を起こし、炎症が生じることで痛みを伴います。重量物の運搬作業や膝をよく使う仕事、体重増加、過去に膝のケガの既往がある事などが誘因となることもあります。

症状

  • ・歩き始め,立ち座り,長時間歩行した時などの膝関節痛
  • ・正座や階段昇降が困難

治療

  • ・保存療法~リハビリ(膝周囲を中心とした筋力トレーニング,体重コントロール),薬物治療(関節内注射,消炎鎮痛剤の内服)など
  • ・手術療法~高位脛骨骨切り術(HTO)または人工膝関節全置換術(TKA)

クリニカル・パス(TKA)

リハビリの流れ 移動手段
手術前日 オリエンテーション
(手術後のリハビリについての説明)
術前評価
手術当日 (リハビリ休み)
手術翌日 ベッド上での軽い運動
手術後2日目 車椅子に乗車しリハビリ室へ
膝屈伸運動、筋力トレーニング
全荷重での立位・歩行練習
車椅子
手術後1週
(7日目)
歩行器歩行
手術後2週
(14日目)
階段昇降練習、日常生活動作練習 1本杖歩行
手術後3週
(21日目)
自宅退院
退院後 基本的に外来リハビリ通院は不要です

クリニカル・パス(HTO)

リハビリの流れ 移動手段
手術前日 オリエンテーション
(手術後のリハビリについての説明)
術前評価
手術当日 (リハビリ休み)
手術翌日 ベッド上での軽い運動
手術後2日目 車椅子に乗車しリハビリ室へ
膝屈伸運動、筋力トレーニング
免荷(体重をかけない)で立位・歩行練習
車椅子
手術後1週
(7日目)
1/4荷重(体重の4分の1)開始
手術後2週
(14日目)
1/2荷重(体重の2分の1)開始 両松葉杖歩行
手術後3週
(21日目)
3/4荷重(体重の4分の3)開始
階段昇降練習、日常生活動作練習
片松葉杖歩行
手術後4週
(28日目)
全荷重開始 一本杖または杖なし歩行→自宅退院へ
退院後 基本的に外来リハビリ通院は不要です

当院整形外科で行われている手術としては、膝関節の軟骨の損傷が軽度で、比較的年齢が若い場合には、 HTOの適応となり、膝関節の変形が中~重度の場合には、TKAの適応となります。どちらの手術の場合でもリハビリでは、アイシングにより痛みや腫れの軽減を図りながら、膝関節の動きの改善や筋力トレーニング、歩行練習、日常生活動作練習などを行います。

変形性股関節症

関節軟骨がすり減り股関節に痛みが生じたり、動かしにくくなったりする病気です。

症状

  • 足の付け根(股関節)部分の痛み
  • ・運動時や荷重時痛
  • ・股関節の動きの制限
  • ・筋力低下

治療

  • ・保存療法~リハビリ(筋力トレーニング、体重コントロール)や薬物治療など
  • ・手術~人工股関節全置換術(THA)

クリニカル・パス(THA)

リハビリの流れ 移動手段
手術前日 オリエンテーション
(手術後のリハビリについての説明)
術前評価
手術当日 (リハビリ休み)
手術翌日 ベッド上での軽い運動
手術後2日目 車椅子に乗車しリハビリ室へ
股関節可動域訓練
筋力トレーニング開始
全荷重での立位・歩行練習
脱臼肢位の指導
車椅子
手術後1週
(7日目)
歩行器または両松葉杖歩行
手術後2週
(14日目)
床上動作練習、階段昇降練習 1本杖歩行
手術後3週
(21日目)
自宅退院
退院後 基本的に外来リハビリ通院は不要です

当院整形外科で行われている手術としては、股関節の変形が進行している場合に、THAの適応となります。手術後はアイシングによる痛みの軽減を図りつつ、関節の動きを良くする運動、筋力トレーニング、歩行練習などを行います。人工股関節では脱臼しないよう十分に注意する必要があり、日常生活上してはいけない姿勢や動作の指導も行います。

臼蓋形成不全・先天性股関節脱臼

 生まれつき、骨盤の中の大腿骨の受け皿となる部分(臼蓋)の角度が浅いこと(臼蓋形成不全)で、股関節が脱臼しやすい状態であったり、脱臼してしまっていること(先天性股関節脱臼)があります。
 幼少期に整復することで脱臼は改善しますが、完全に整復できなかったり、未治療の場合には、成長するにつれて股関節の変形(変形性股関節症:右図参照)が進行していきます。

臼蓋形成不全

クリニカル・パス(RAO)

リハビリの流れ 移動手段
手術前日 オリエンテーション
(手術後のリハビリについての説明)
術前評価
手術当日 (リハビリ休み)
手術翌日 ベッド上での軽い運動
手術後2日目 車椅子に乗車しリハビリ室へ
股関節可動域訓練
筋力トレーニング開始
免荷(体重かけない)での立位・歩行練習
車椅子
手術後3週
(21日目)
1/3荷重(体重の3分の1)開始
手術後4週
(28日目)
2/3荷重(体重の3分の2)開始
階段昇降練習
両松葉杖歩行
手術後5週
(35日目)
全荷重開始
日常生活動作練習、床上動作練習
片松葉杖歩行
手術後8週
(56日目)
抜釘(固定していたピンを抜く)手術
手術後9週
(63日目)
自宅退院
退院後 基本的に外来リハビリ通院は不要です

治療

  • ・手術療法~寛骨臼回転骨切り術(RAO)または人工股関節置換術(THA)

 骨盤の臼蓋の角度が浅かったり、股関節の変形がまだ進行していない場合には、RAOの適応となります。股関節脱臼が高度の場合や股関節の変形が進行している場合には、THA(変形性股関節症:上記参照)の適応となります。

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