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リハビリテーションとは?

リハビリテーションとは?

リハビリテーションとは、基本的動作の回復を通して、日常生活活動の自立あるいは介助の軽減を図るために、一人一人の患者さん状態に応じて、運動療法物理療法日常生活動作練習装具療法などを組み合わせて行います。
そのために適切な実施計画を立て、治療の効果を定期的に評価し、計画を見直しつつ実施します。

理学療法とは?(Physical Therapy)

理学療法士及び作業療法士法では、理学療法とは「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。

身体に何らかの障害が生じた方に対し、基本的な動作や歩行や日常生活動作などの運動機能や動作能力の回復を図り、在宅生活への復帰や仕事・スポーツ活動への復帰を目指します。その方法としては、運動療法、物理療法、呼吸理学療法などがあります。

《運動療法》
運動の障害を、運動そのものを用いて治療すること

  • 1.硬くなった関節の動きを良くする練習(関節可動域運動)
  • 2.筋力増強運動
  • 3.座位・立位バランス練習
  • 4.平行棒や杖等を使用した歩行練習
  • 5.階段昇降練習
  • 6.床に座る・床から立つ練習(床上動作練習)

1.関節可動域運動
筋肉・腱・靱帯・皮膚などのマッサージストレッチを行ったり、物理療法を併用し痛みを軽減しながら、関節の動きを改善させます。

2.筋力増強運動
おもりやセラバンドなどを使って、腕や足の運動を行います。また、立った姿勢でスクワットやかかと上げ運動など重力を利用した運動によっても筋力強化を促します。

3.バランス練習
バランスボールの上に座って体を動かしたり、不安定な足場の上などでスクワット運動などを行うことで、様々な動きに対応できるようバランス能力の改善を促します。

4.歩行練習
一人ひとりの状態に合わせて、平行棒・歩行器・松葉杖・一本杖などの中から選択し、歩行練習を行います。

5.階段昇降練習
退院後の生活を想定して、玄関まわりの段差や階段、敷居などの障害物を乗り越えられるよう、退院に向けて事前に練習を行います。

6.床上動作練習
床に座る生活スタイルの方には必要不可欠な練習です。一人ひとりのケガの状態や生活習慣・スタイルに合わせて、安全で少しでも楽に行えるように、練習を行います。

《物理療法》
骨や筋肉、神経などの障害を温熱や寒冷、電気、超音波などを用いて治療すること

  • 1.アイスパック
  • 2.ホットパック
  • 3.渦流浴
  • 4.低周波治療器
  • 5.超音波治療器

※写真については当科の設備・備品2治療器具をご覧下さい。

1.アイスパック
寒冷療法の一つ。主に整形外科での手術後、間もない時期は炎症症状(痛み、腫れ、ほてり、赤み)が強く生じます。アイスパックを運動の前または後に10~20分間患部に当てて、痛みの軽減を図ります。

2.ホットパック
温熱療法の一つ。硬くなったり、痛みのある筋肉や関節などに10~20分間当てて、痛みの軽減を図ります。

3.渦流浴
温熱療法の一つ。温熱効果と水流や気泡によるマッサージ効果が作用します。これにより血流の改善や組織の柔軟性の向上、痛みの軽減を図ります。

4.低周波治療器
さまざまなモードで微弱な電流を流すことにより、痛みの軽減、神経麻痺の改善、筋力増強を目的として使用します。急性・慢性の関節痛、末梢神経麻痺、整形外科での手術後の筋萎縮など様々な疾患に適用します。

5.超音波治療器
受傷・手術後間もない時期の創部痛や炎症にも適用でき、組織の柔軟性の向上、痛みの軽減・腫れの軽減などを図ります。

《呼吸理学療法》
肺気腫などの慢性呼吸器疾患や肺炎・胸部外科手術後などの急性呼吸不全により、呼吸機能が低下した方に対し、胸郭を動きやすくする呼吸介助、呼吸法の指導、痰を出す練習、運動療法による心肺機能の改善や全身的な筋力強化、日常生活指導を行うことで、呼吸機能の改善や生活の質の向上を図ります。

作業療法とは?(Occupational Therapy)

理学療法士及び作業療法士法では、作業療法とは「身体または精神に障害のあるもの、またはそれが予測されるものに対し、その主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復、維持及び開発を促す作業活動を用いて、治療、指導及び援助を行うことをいう」と定義されています。
一般の作業療法においては、さまざまな障害を患う患者さんに対し、さまざまな道具、日常動作、仕事での動作などを利用してリハビリテーションを行います。歩行など基本的な動作を扱う理学療法に対し、日常生活動作や仕事などの社会参加に向けた動作を扱うことが多いです。

当院では主に手・肘の整形外科疾患に対するリハビリテーション(ハンドセラピィ)を行っています。
詳しくは「手、肘のリハビリ」のページへ

言語聴覚療法とは?(Speech-Language-Hearing Therapy)

言語聴覚士法において言語聴覚療法とは「音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導を行う」と定義されています。
医療、介護、福祉、学校教育の分野において、発声発語機能、言語機能、聴覚機能、高次脳機能、摂食・嚥下機能など、主としてコミュニケーション機能に障害のある人に対して、言語聴覚士が検査、訓練および助言、指導その他の援助などの専門的かかわりによって、対象者の機能の獲得や維持・向上を図り、生活の質の向上を支援します。

当院では主に摂食嚥下機能面に障害のある患者さんに対しての訓練を中心に行っています。
・摂食とは?・・・・食べること,食事を摂ること全般のことを指しています。
・嚥下とは?・・・・飲み込むこと,飲み込む動作だけを意味しています。

《摂食嚥下療法》
食欲低下,体力低下,意識障害,嚥下運動障害,心理的障害などの様々な原因により食事がとれない状態の方に対して,食事環境の整備や食事の際の姿勢,食べ物の固さの調整や食事で使う筋肉のトレーニングを行うことで摂食嚥下機能を維持・向上させる治療法です。

●摂食嚥下療法の実際
口腔ケア:清掃器具や手指で口腔内のブラッシング、マッサージ、ストレッチなどを行います。単なる口腔清掃ではなく、細菌除去、口腔周囲組織の刺激、筋力の向上といった目的があります。

スポンジを用いた口腔内のブラッシング

間接訓練:食物を用いずに口腔、咽頭などの運動や感覚機能を高め、経口摂取を可能にしたり、誤嚥性肺炎を予防したりします。

嚥下練習(左;舌の運動・右;食べ物を食道へ流入させる訓練)

  • 息を持続的に吹く練習

    飲み込みの筋力トレーニング

  • 咳の練習

直接訓練:食物を使って安全においしく食べられるようにする練習です。嚥下機能によってさまざまな食形態や姿勢を選択して、徐々にレベルアップを図ります。

ゼリーを用いた直接訓練

NST活動
栄養サポートチームに加わり、医師、管理栄養士、臨床検査技師、薬剤師、看護師とともに患者さんの栄養状態の改善のために摂食嚥下機能に関しての情報を提供するなどしてチーム内で活動しています。

医師とともに行う評価
嚥下造影検査(VF):X線透視下で、造影剤(硫酸バリウム)を飲み込んでもらい、口腔、咽頭、食道の動き、構造の異常、食塊の動きを評価する方法。
嚥下内視鏡検査(VE):鼻咽腔喉頭ファイバースコープを用いて嚥下諸器官、食塊の動態などを観察する方法。

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